刑務所のお正月、特別メニューは?高齢化で餅は減少傾向…意外な実態に迫る

日本の多くの人々がおせち料理を楽しむお正月。しかし、高い塀に囲まれた刑務所では、受刑者たちはどのように新年を迎えているのでしょうか? 刑務所内のお正月事情、そして高齢化が進む受刑者たちの食事事情について、詳しく解説します。

刑務所のお正月料理「特別菜」とは?

府中刑務所をはじめ、各刑務所では、正月に「特別菜」と呼ばれる食事が提供されます。これは特別な予算が組まれているわけではなく、年間予算内で工夫を凝らしたメニューとのこと。一般社会で想像するような豪華なものではなく、日々の生活にメリハリをつけ、新年を迎えたと感じられるような食事を提供することを目的としています。管理栄養士の監修のもと、予算内で最大限の配慮がされているそうです。

刑務所の食事のイメージ刑務所の食事のイメージ

年間予算内でやりくりされる食事

法務省の「令和6年版犯罪白書」によると、受刑者一人一日当たりの食費予算は約543円。特別菜もこの範囲内で賄われます。 例えば、普段は白米7:麦3のごはんが白米100%になったり、お餅が提供されることも。 しかし、近年では受刑者の高齢化が進み、餅による窒息事故の危険性を考慮し、白玉にしたり、餅自体を提供しない施設も増えているそうです。

高齢化が進む刑務所、餅は敬遠される傾向に

刑務所内でも高齢化は深刻な問題です。「犯罪白書」によると、高齢受刑者数は増加の一途をたどり、平成16年(2004年)と比較して令和5年(2023年)では約1.5倍に。70歳以上となると約2.6倍にも増加しています。一方、他の年齢層の受刑者数は減少傾向にあり、この状況が刑務所内高齢化をさらに加速させています。

高齢受刑者の増加傾向を示すグラフ高齢受刑者の増加傾向を示すグラフ

餅を望む声もあるが…

餅を食べたいという高齢受刑者の声もあるようですが、全員に提供できない現状では、一部の受刑者にだけ提供することは不平等感を生む可能性があり、配膳時間や運用面での課題も存在します。 刑務所職員は、安全面と平等性のバランスを保ちながら、受刑者にとってより良い食事提供を目指して日々努力しています。

まとめ:塀の中の新年と高齢化問題

刑務所のお正月は、限られた予算の中で工夫を凝らした「特別菜」が提供されています。高齢化が進む刑務所内では、餅の提供が難しい場合もあるなど、様々な課題に直面しています。 犯罪を犯した受刑者とはいえ、人間としての尊厳を保ちながら、安全で健康的な生活を送れるよう、更生支援の重要性を改めて考えさせられる現状です。