人生100年時代。長寿を喜ぶ一方で、終活について考える機会も増えています。評論家の樋口恵子さんは92歳。自身の経験を元に、老いを受け入れ、前向きに生きるためのヒントを提案しています。今回は、樋口さんの著書『老いてもヒグチ。転ばぬ先の幸せのヒント』を参考に、自分らしい葬儀とお墓の選び方について考えてみましょう。
葬儀は誰のため?シンプルイズベストな家族葬という選択
樋口さんは「葬儀無用。親しい人だけが集まる家族葬」を希望しています。葬儀は故人を偲び、別れを惜しむ大切な場ですが、超高齢社会においては、参列者にも高齢者が多く、負担になるケースも少なくありません。90代ともなれば、参列者の多くも高齢。移動の負担や体調を崩すリスクを考えると、簡素な家族葬を選択するのも一つの賢明な方法です。
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高齢者の移動の難しさ:葬儀への参列は必ずしも必要?
高齢になると、移動すること自体が大きな負担となります。車椅子を利用できたとしても、長距離の移動や乗り換えは容易ではありません。家族や友人に付き添いを頼むのも気が引けるものです。本当に大切なのは、生前にしっかりとコミュニケーションを取り、互いの気持ちを確認し合うことなのかもしれません。電話や手紙で近況を伝え合うことで、たとえ葬儀に参列できなくても、心温まる別れを実現できるのではないでしょうか。
宗教にとらわれない葬儀:故人の想いを尊重した自由な形式
家族葬といっても、宗教的な儀式を行うかどうかは迷うところです。日本では宗教の自由が保障されています。故人の信仰や家族の考え、喪主の意向を尊重し、形式にとらわれずに故人にふさわしい葬儀を執り行うことが大切です。近年では、無宗教葬や自由葬といった選択肢も増えています。葬儀プランナーの山田さん(仮名)は、「故人の好きだった音楽を流したり、思い出の写真を飾ったり、自由な発想で故人を偲ぶ場を演出することが可能です」と語っています。
お墓の選択肢:多様化する現代における新しい弔いの形
お墓についても、従来の墓石だけでなく、樹木葬や散骨、海洋葬など様々な選択肢が登場しています。少子高齢化や核家族化が進む現代においては、墓地の管理や継承が難しいケースも増えています。永代供養墓や納骨堂といった管理の手間が少ない方法も人気を集めています。
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自分らしい最期を迎えるために:早めの準備と家族との対話
葬儀やお墓について考えることは、決して暗いことではありません。むしろ、自分らしい最期を迎えるための大切な準備です。元気なうちに家族と話し合い、それぞれの想いを共有しておくことで、いざという時に慌てることなく、心穏やかに過ごすことができるでしょう。終活に関する情報を積極的に収集し、専門家にも相談しながら、最適な方法を見つけていきましょう。