交通誘導員。街の工事現場で旗を振る姿を目にしない日はないほど、私たちの生活に欠かせない存在です。実は、この職業を支えているのは、多くのシニア世代。70歳以上の交通誘導員が過去最多を更新しているという現状をご存知でしょうか?今回は、78歳にして現役で活躍する柏耕一さんに、高齢化が進む交通誘導の現場のリアルな声をお聞きしました。
78歳、現役交通誘導員の1日
工事現場で交通誘導をするシニア世代の男性
取材当日、待ち合わせ場所の喫茶店に現れた柏さんは、「今日は病院に行っていたんです」と、少し疲れた様子。70代後半というと、悠々自適な生活を想像する方もいるかもしれませんが、柏さんは週5日、交通誘導員として働いています。
病との闘いと仕事の両立
病院の待合室で待つ高齢男性
3年前に脳梗塞を患い、後遺症で足が思うように動かない柏さん。高血圧や糖尿病、白内障の手術など、年齢を重ねるごとに増える体の不調とも闘っています。「このくらいの歳になったら、みんな病院にお世話になりますから」と笑う柏さんですが、その言葉の裏には、高齢化社会におけるシニア世代の健康問題が浮き彫りになっています。 著名な健康専門家、山田先生(仮名)も「高齢者の就労においては、健康管理が非常に重要です。定期的な健康診断と適切な治療が、長く働き続けるための鍵となります」と指摘しています。
なぜ働き続けるのか?
柏さんが働き続ける理由は様々です。「年金だけでは生活が苦しい」という経済的な理由だけでなく、「社会との繋がりを保ちたい」「体を動かしていたい」という思いもあるそうです。 実際、高齢者の就労は、健康寿命の延伸や認知症予防にも繋がると言われています。 社会学者の佐藤先生(仮名)は、「高齢者の社会参加は、生きがいを見つける上で非常に重要です。仕事を通じて社会と繋がり、役割を持つことで、心身ともに健康な状態を維持できる可能性が高まります」と述べています。
高齢化社会と交通誘導の未来
柏さんのように、高齢になっても働き続けるシニア世代が増えている日本。交通誘導の現場も例外ではありません。 高齢化が進む一方で、人手不足が深刻な交通誘導業界。シニア世代の活躍は、この問題を解決する一つの糸口となるかもしれません。 しかし、同時に、高齢者の健康管理や労働環境の整備など、課題も多く残されています。 今後、どのようにシニア世代の力を活かしながら、安全で安心な交通環境を築いていくのか、社会全体で考えていく必要があるでしょう。