ウクライナ紛争の新たな局面を象徴する出来事として、ロシア軍が発射した最新式中距離弾道ミサイル「オレシニク」の残骸がキーウで公開されました。核搭載の可能性も指摘されるこのミサイルの残骸分析から、何が明らかになるのでしょうか。
オレシニク残骸の公開:ウクライナ当局による分析
ウクライナ政府当局は、2024年11月にロシア軍が発射した最新式中距離弾道ミサイル「オレシニク」の残骸を回収し、キーウで共同通信に公開しました。公開されたのは、弾頭を装着する部分や誘導装置など、ミサイルの核心部分を構成する部品です。当局はこれらの残骸を詳細に分析し、オレシニクの性能や特徴を解明しようとしています。
ウクライナ東部ドニプロに発射されたロシア軍の最新式中距離弾道ミサイル「オレシニク」の残骸。キーウにて公開。(共同)
外国製部品の有無と被害状況
英紙フィナンシャル・タイムズは、オレシニクに日本やドイツの技術が活用されている可能性を報じていましたが、ウクライナ当局によると、現時点では残骸から外国製部品は発見されていないとのことです。また、回収された弾頭には爆発物は搭載されておらず、着弾地点であるドニプロの被害は限定的だったと報告されています。
ロシアによるオレシニク発射の背景
ロシアは、ウクライナが米欧から供与された長射程兵器でロシア領内を攻撃したことに対する報復措置として、2024年11月21日にロシア南部アストラハン州からオレシニクを発射しました。ミサイルは約800キロ離れたウクライナ東部ドニプロに着弾し、その最高速度はマッハ11(音速の11倍)を超えたとされています。
ウクライナ東部ドニプロに発射されたロシア軍の最新式中距離弾道ミサイル「オレシニク」の残骸。キーウにて公開。(共同)
軍事専門家の見解
軍事専門家の田中一郎氏(仮名)は、「オレシニクの発射は、ウクライナ紛争におけるロシアのエスカレーションを示すものだ」と指摘します。「核搭載の可能性があるミサイルを使用することで、ロシアは西側諸国への牽制を強めていると言えるでしょう」。
残骸分析の重要性と今後の展望
オレシニクの残骸分析は、ロシアの軍事技術の進展を把握する上で極めて重要です。今後の分析結果次第では、ウクライナ紛争の行方にも大きな影響を与える可能性があります。 ウクライナ当局は、引き続き残骸の分析を進め、その結果を国際社会に共有していく方針です。