無免許で教壇に立ち続けた“鬼畜教師”近藤正仁被告の異常な執着

福岡市のベッドタウン、須恵町の中学校で今春から補助教員として勤務していた男性が、生徒から「キモい」と陰口を叩かれる存在となっていた。保護者からの疑念がきっかけで、この男性教師の驚くべき正体が明らかになった。彼は、20年もの長きにわたり教員免許を偽造し、無免許で教壇に立ち続けていた近藤正仁被告(66)だったのである。教職への彼の異常な執着は、社会に大きな衝撃を与えている。

保護者の情報提供と逮捕までの経緯

ことの発端は、生徒の保護者が男性教師の不審な言動に疑問を抱き、インターネットで検索したことだった。その結果、同姓同名の人物が過去に教員免許偽造で逮捕されていた事実が発覚する。

9月、保護者から連絡を受けた学校側は教師に事情聴取を行い、警察に相談。その後の捜査で、近藤被告が偽造した教員免許のコピーを提出し、採用されていたことが判明した。福岡県警は10月13日、偽造有印公文書行使の疑いで近藤被告を逮捕。福岡地検は31日に彼を起訴した。この逮捕により、彼の教職への執着が単なる情熱ではなく、異様としか言いようのない犯罪行為であったことが公になった。

繰り返された教員免許偽造と児童買春の過去

近藤正仁被告は、20年もの間、虚偽申告や改姓、そして教員免許の偽造を繰り返し、少なくとも全国6つの学校に無免許で潜り込んでいたことが明らかになっている。高校時代の同級生によれば、彼の旧姓は「古畑」で、須恵町の隣町出身、柔道部では大人しい生徒だったという。

福岡中央高校を卒業後、佐賀大学理工学部数学科に進学し教員免許を取得。福岡市内の中学校で教鞭を執り始めたものの、2005年、45歳で児童買春により検挙される。捜査関係者によると、彼はインターネットで知り合った13歳の少女に「制服プレーがしたい」と他の中学生の紹介を依頼。淫行相手には1回につき2~3万円、紹介した少女にも毎回5,000円を支払うという悪質な行為だった。

この判決により、近藤被告の教員免許は失効。しかし彼は免許状を紛失したと偽り返納せず、2007年には同じ免許状を使って山口県の私立高校で再び勤務を開始した。無免許が発覚すると、2012年にはさらに遠方の埼玉県日高市、秩父市、群馬県片品村などの小中学校を転々とした。

教員免許偽造で逮捕された近藤正仁被告のイメージ教員免許偽造で逮捕された近藤正仁被告のイメージ

住民からの情報提供を受け、埼玉県は捜査を開始。2013年には教育職員免許法違反容疑で逮捕され、罰金刑を受けている。

改姓と実刑判決、そして終わらない再犯

「古畑」という旧姓で検索されると無免許であることが発覚すると学習した近藤被告は、養子縁組を繰り返し、「橋本」「近藤」と改姓した。そして、教員免許の氏名部分を貼り替えるなどの手口で再び偽造し、教員の職に応募し続けた。

「橋本」「近藤」という名義での勤務中も、それぞれ一度ずつ偽造が見破られ、2014年と2017年には実刑判決を受け服役。合計で2年6カ月の刑期を終えて出所すると、再び故郷へ戻り、須恵町などで教職を得ていたという。彼の教職への異常な執着は、度重なる逮捕や実刑判決を受けても止まることはなかった。

まとめ:社会が問うべき「教職への異常な執着」

近藤正仁被告の一連の行為は、単なる個人の犯罪に留まらず、教員免許制度の盲点や、学校現場における採用プロセスの脆弱性を浮き彫りにした。教職への異常な執着が、児童買春や公文書偽造といった重大な犯罪に繋がり、無免許のまま子どもたちの教育現場に潜り込み続けた事実は、社会全体が深く反省し、再発防止策を講じる必要性を示唆している。彼の事例は、教員の資格審査および情報共有の厳格化を求める強い警鐘である。