韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の逮捕状執行期限が6日に迫り、国内の緊張が高まっている。大統領警護庁による執行阻止を受け、逮捕は難航。大統領公邸周辺では、支持派と反対派の集会が連日行われ、騒然とした情勢が続いている。
逮捕状執行の期限迫るも、警護庁が抵抗
高官犯罪捜査庁(高捜庁)は尹大統領を「内乱の首謀者」とみて内乱などの容疑で捜査、裁判所から逮捕状が発付された。3日には検察・警察が大統領公邸に踏み込んだものの、警護庁が大統領警護法を盾に執行を拒否。高捜庁は逮捕を断念し、再執行や逮捕状の効力延長を検討中だ。大統領代行も警護庁への協力を要請しているが、警護庁は抵抗の姿勢を崩していない。
尹大統領の逮捕を求める市民の集会の様子
朴鍾俊警護庁長は声明で、大統領の安全確保に全力を尽くすと表明。尹大統領の弁護団も強硬姿勢を維持し、3日の執行を試みた高捜庁・警察幹部らを告発すると発表した。ソウル西部地方裁判所は尹氏側の執行不許可の申し立てを棄却したが、事態の収束は見通せない。
支持派と反対派の攻防激化、公邸周辺は騒然
大統領公邸周辺では、尹大統領の支持派と反対派による集会が連日開催され、緊迫した状況が続いている。5日には、逮捕を求める市民らが大規模集会を実施。「尹を刑務所へ送れ!」と声を上げる反対派に対し、数百メートル離れた場所では支持派が集結。「弾劾は無効だ!」と訴え、2024年4月の総選挙における不正を主張した。
政治アナリストの김철수氏(仮名)は、「両派の対立は激化の一途を辿っており、予断を許さない状況だ。今後の政局の行方は、憲法裁判所の弾劾裁判の行方にかかっていると言えるだろう」と分析している。
尹大統領の支持者たちの集会の様子
憲法裁判所の判断が焦点、尹大統領は自ら出廷へ
憲法裁判所では、尹大統領に対する弾劾裁判が進行中。3月中にも罷免の是非が判断される見通しだ。尹大統領の弁護団は、尹大統領自身が2月4日までに憲法裁判所に出廷し、意見を述べると明らかにした。
今後の展開次第では、韓国政局はさらに混迷を深める可能性がある。国民の関心は、憲法裁判所の判断と、それに伴う尹大統領の処遇に注がれている。