韓国で波紋を呼んでいる尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領への拘束令状請求問題。高官犯罪捜査庁(高捜庁)は、期限である6日、尹大統領への拘束令状の再請求を行う方針を明らかにしました。注目すべきは、令状執行を警察に一任する決定です。専門性を考慮した措置とされていますが、現職大統領の身柄拘束という前例のない事態に、警察は対応に苦慮している様子が伺えます。
高捜庁、拘束令状再請求と警察への執行一任を決定
高捜庁関係者は、令状執行を警察に一任する理由について、「執行の専門性や現場指揮の統一性などを考慮した」と説明しています。聯合ニュースによると、警察側は「内部で検討中」と慎重な姿勢を見せています。高捜庁は5日夜(日本時間同)に警察へ執行一任の意向を伝達したと報じられています。
韓国大統領公邸付近に集まった尹大統領の支持者たち
3日には、高捜庁が尹大統領への拘束令状執行を試みましたが、大統領公邸敷地内で大統領警護庁の要員約200人が抵抗し、執行を断念せざるを得ない状況となりました。この際には、高捜庁と合同捜査本部を構成する警察も参加していました。今回の警察への執行一任は、こうした過去の経緯を踏まえた上での判断とみられます。
尹大統領弁護団、高捜庁幹部らを告発
一方、尹大統領の弁護団は6日、高捜庁などが尹大統領への令状執行を違法に試みているとして、高捜庁の呉東運(オ・ドンウン)長官ら11人を告発したと発表しました。弁護団は、高捜庁の行動は職権乱用にあたると主張しており、今後の法廷闘争の行方が注目されます。
韓国の尹錫悦大統領
前例なき事態に今後の展開は?
現職大統領への拘束令状執行という前例のない事態に、韓国政界は大きく揺れています。警察への執行一任によって事態は新たな局面を迎えることとなりますが、今後の展開は予断を許しません。「韓国政治リスク分析研究所」のキム・ミンギュ所長(仮名)は、「大統領の身柄拘束は国家的な危機であり、政治、経済、社会に大きな影響を与える可能性がある。慎重な対応が求められる。」と述べています。今後の動向に注目が集まります。