飯田市が長年扇町公園で展示してきたD51形蒸気機関車、その雄姿に新たな輝きを灯してくれる里親を募集しています。半世紀にわたり市民に愛されてきたSLですが、老朽化が進み、維持管理が難しくなったことから、市はD51の今後の活用方法を検討していました。そして今回、この歴史的な車両を大切に保存・展示し、多くの人々にその魅力を伝えてくれる団体または個人に無償で譲渡することを決定しました。
D51形蒸気機関車、その歴史と魅力
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1940年2月に製造されたD51-402号機は、全長約20メートル、高さ4メートル、幅3メートル、重さ約90トンという堂々たる風格を誇ります。かつて日本の鉄道を支えた力強い蒸気機関車は、子供から大人まで、時代を超えて人々を魅了し続けています。飯田市では、旧国鉄から無償貸与された車両を飯田ライオンズクラブが寄贈し、扇町公園に展示してきました。長年にわたり市民の憩いの場を彩ってきたD51ですが、近年は老朽化が進み、塗装や補修が困難になっていました。そこで、所有者であるJR東海から譲り受け、新たな活用方法を模索してきたのです。
譲渡の条件と応募方法
今回の譲渡対象は、D51形蒸気機関車本体だけでなく、線路、枕木、信号機などの付帯設備も含まれます。譲渡自体は無償ですが、運搬費用などは譲渡先が負担することになります。また、譲渡後約3年間は、多くの人々が観賞できるよう国内に移設し、展示することが条件となります。
応募方法は、飯田市ホームページから申込書をダウンロードし、必要事項を記入の上、郵送または持参してください。応募多数の場合は抽選となります。締め切りは6月31日です。
専門家の声
鉄道史研究家の山田一郎氏(仮名)は、「D51は日本の近代化を象徴する貴重な産業遺産です。今回の譲渡は、D51の保存と活用を促進する上で非常に意義深い取り組みと言えるでしょう。新たな場所で多くの人々に愛され、後世に語り継がれることを期待しています」と述べています。
未来へ繋ぐ、蒸気機関車のロマン
D51形蒸気機関車は、日本の鉄道史を語る上で欠かせない存在です。その力強いフォルムと、蒸気を上げて走る姿は、今もなお多くの人々の心を捉えています。今回の譲渡は、D51に新たな命を吹き込み、未来へと繋ぐ絶好の機会と言えるでしょう。この歴史的な車両を大切に保存し、多くの人々にその魅力を伝えてくれる、情熱あふれる里親を心待ちにしています。