北朝鮮のミサイル配備:新型戦術弾道ミサイル250台配備の真相とは?

北朝鮮の金正恩国務委員長が誇示する新型戦術弾道ミサイル。その配備状況と真の狙いについて、専門家の分析を交えながら詳しく解説します。

新型戦術弾道ミサイル発射台250台配備の動向

金正恩委員長は2022年8月、新型戦術弾道ミサイル用移動式発射台(TEL)250台の配備を宣言しました。韓国国防情報本部は、これらのTELの配備準備が進められていることを確認し、韓米が共同で監視を強化していると発表しました。これは、昨年8月時点での「実戦配備の動きはない」という見解から変化したもので、緊張が高まっていることを示唆しています。

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韓国国防研究院(KIDA)のイ・サンギュ核安保研究室長は、250台のTELに搭載された通常ミサイルと核兵器を組み合わせた攻撃が行われた場合、韓国の防空能力が著しく消耗する可能性を指摘しています。TEL1台につき4本の発射管があるとされ、250台で最大1000発のミサイル同時発射が可能となる計算です。

極超音速ミサイル発射の真意:誇示か、実力か?

北朝鮮は2023年1月6日に極超音速中距離弾道ミサイル(IRBM)の発射実験に成功したと発表しました。労働新聞は、マッハ12の速度で飛行し、1500km先の目標水域に正確に着弾したと報じています。さらに、新型の炭素繊維複合材料や飛行・誘導操縦システムを採用したと主張しています。

金委員長は、このミサイル開発の目的は核抑止力の強化であり、「いかなる防御障壁も突破できる」と強調しました。極超音速ミサイルは、その速度と機動性から既存の防空システムでは迎撃が困難とされています。

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しかし、韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮の発表に反論しています。分析の結果、発表されたような高度変化はなく、北朝鮮の欺瞞戦術であると指摘しました。また、このミサイルは昨年4月に公開された「火星砲-16ナ」型と同一機種の可能性が高いとみており、技術的な進展は限定的であるとの見方を示しています。

北朝鮮の狙いと今後の展望

専門家の中には、今回のミサイル発射は米国への牽制であり、トランプ政権の2期目を視野に入れたメッセージ発信であるとの見方もあります。金委員長は発射指導の際、「太平洋地域の任意の敵を牽制する」と発言しており、米日を念頭に置いた発言と解釈されています。

北朝鮮は、旧型の兵器をロシアに供与し、新型兵器への更新を進めているとされています。これは対南攻勢の一環とみられています。今後の北朝鮮の動向には、引き続き警戒が必要です。