【ワシントン=向井ゆう子】国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は27日に収録された米CBSとのインタビューで、イランがウラン濃縮活動を数か月以内に再開する可能性に言及した。
イランが備蓄する濃縮ウランについて「(米軍の)攻撃で破壊されたものも、移動されたものもあるかもしれない」と述べ、イランの核施設は「深刻な損害を受けたが、完全に破壊されたわけではない」との見方を示した。
米CNNは、米軍がイランの三つの核施設を攻撃した際、中部イスファハンの施設に対しては効果が得られないと判断し、地下貫通型の大型爆弾「バンカーバスター」を使わなかったと報じた。米政府関係者は、イランが備蓄する濃縮ウランのうち約60%がイスファハンの地下にある核施設に保管されているとみているという。CNNは、米軍制服組トップのダン・ケイン統合参謀本部議長らが26日に非公開で米上院議員らに説明した内容として伝えた。
米軍は22日の空爆で、イラン中部フォルドゥ、ナタンツの核施設に計14発のバンカーバスターを打ち込み、巡航ミサイル「トマホーク」数十発でイスファハンを攻撃した。米国のトランプ大統領は空爆でイランの核開発を「数十年遅らせた」と主張しているが、報道が事実ならトランプ氏の主張に疑問符がつきそうだ。