少子化は世界的な課題ですが、韓国はその深刻度において突出しています。2023年の合計特殊出生率はわずか0.72とOECD加盟国で最下位。首都ソウルに至っては0.55と、東京の半分強という驚くべき数値となっています。この記事では、韓国の少子化問題の現状と、それが社会・経済にもたらす深刻な影響について探ります。
消えゆく子供たちの声:ソウルの現状
かつて子供たちの笑い声で溢れていた公園は、今ではペットの犬の遊び場と化し、幼稚園は高齢者施設に、中学校は駐車場へと姿を変えています。私自身、ソウルに住んでいますが、近所で子供を見かけることは本当に少なくなりました。まるで子供たちが街から姿を消してしまったかのようです。
ソウルで子供を見かけることは少なくなっている
人口減少の危機:迫りくる未来
韓国統計庁の予測によると、2070年には韓国の人口は3000万人台にまで減少する見込みです。これは14世紀のペスト大流行に匹敵する人口減少だと、米国のニューヨーク・タイムズ紙も指摘しています。 人口減少は経済にも大きな打撃を与え、生産年齢人口の減少による経済成長率の低下が懸念されています。韓国経済人協会は、2061年以降、経済成長率がマイナスに転じると予測しています。
国防への影響:兵力不足の懸念
少子化は安全保障にも深刻な影を落としています。韓国の国防目標である「常備兵力50万人」の維持は既に困難となっており、2045年には32万9000人にまで減少すると予想されています。これは、118万人の兵力を保有する北朝鮮の4分の1程度の水準です。人口では韓国が北朝鮮の2倍以上であるにもかかわらず、子供の数は北朝鮮よりも少ないという衝撃的な事実も明らかになっています。そのため、「韓国の最大の敵は北朝鮮ではなく少子化」と言われるほど、深刻な問題となっています。
少子化対策の必要性:未来への希望
韓国政府は少子化対策に力を入れており、出産・育児支援策の拡充や、ワークライフバランスの改善などに取り組んでいます。 しかし、少子化の根本的な原因は複雑で、経済的な不安や社会的な圧力など、様々な要因が絡み合っています。 少子化問題の解決には、長期的な視点に立った包括的な対策が必要不可欠です。 食生活アドバイザーの朴美淑氏(仮名)は、「若い世代が安心して子供を産み育てられる社会を作るためには、社会全体での意識改革が必要」と指摘しています。
まとめ:未来への課題
韓国の少子化問題は、経済、社会保障、国防など、あらゆる分野に深刻な影響を及ぼしています。未来への希望を繋ぐためにも、政府、企業、そして国民一人ひとりがこの問題に真剣に取り組む必要があります。