「先入観を捨てろ!」5分計と8分計で9分を測る論理的思考問題、あなたは解けるか?

「ビジネス書なのに、なぜか子どもが夢中になっています!」と話題沸騰の書籍『もっと!!頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』(野村裕之著、ダイヤモンド社刊)は、Google、Apple、Microsoftといった世界トップ企業が採用試験で出題するような論理的思考問題の傑作を集めています。思考力を鍛える知的トレーニングとして注目を集めるこのシリーズは、2024年の年間ベストセラー4位(ビジネス書単行本/トーハン調べ)を獲得した前作に続き、最新作も「前作以上に面白い!」「家族みんなで楽しんでます!」と幅広い世代から絶大な反響を呼んでいます。今回は本書から、私たちの「常識」という先入観が時に思考の妨げになることを示す、まさに「先入観を捨てて考えられる人」だけが解ける問題をご紹介します。

問題提起:2つの砂時計で9分を測れ

私たちが無意識に持っている「常識」は、問題解決の際に意外な落とし穴となることがあります。以下の問題に挑戦し、自分の先入観を疑って正解を導き出せるか試してみてください。

「2つの砂時計」

2つの砂時計があります。
1つは5分用。
もう1つは8分用。
この2つの砂時計を用いて、9分を計るにはどうすればいいでしょうか?

砂時計のイラスト:ハザマチヒロ砂時計のイラスト:ハザマチヒロ

これは一見すると非常にシンプルながら、多くの人が戸惑う有名な論理的思考問題です。似たような問題を解いた経験がある人も多いかもしれませんが、油断すると意外な苦戦を強いられることでしょう。簡単そうに見えて、ある思い込みにとらわれると、思考の沼に深くハマってしまう可能性を秘めています。

解決へのヒント:常識を疑い、時間の「差」に注目する

5分と8分を計れる砂時計を使って9分を計るというこの問題は、当然ながら単純に砂時計を使うだけでは解決できません。ここでの鍵は、2つの砂時計が計れる時間の「差」をいかに巧妙に利用するかという点です。この問題の核心は、私たちが砂時計の使い方に関して抱いている「常識」という盲点に気づけるかどうかにかかっています。それでは、その具体的な解決策を見ていきましょう。

計測開始までの準備

まず、2つの砂時計を同時にひっくり返すことから始めます。ここで最も重要なポイントは、この時点ではまだ時間の計測をスタートしないということです。これは一般的な砂時計の使い方に対する先入観を捨てる第一歩となります。

5分後、そしてその次

5分が経過すると、5分用の砂時計の砂がすべて落ちきります。この瞬間に、5分用の砂時計を再度ひっくり返します。このとき、8分用の砂時計の中には、まだ「3分」分の砂が残っている状態です。そして、この時点から実際の時間の計測をスタートします。

それから3分後、8分用の砂時計の砂がすべて落ちきります。この時、先ほどひっくり返した5分用の砂時計は、合計で「3分」分だけ砂が落ちた状態になっています。このまさにその瞬間に、2つの砂時計を再び同時にひっくり返します。

9分間の計測完了まで

さらに3分後、最初にひっくり返した5分用の砂時計の砂がすべて落ちきります。この瞬間、同じくひっくり返した8分用の砂時計には「3分」分の砂が残っている状態です。このタイミングで、8分用の砂時計をもう一度ひっくり返します。

そこからさらに3分が経過し、8分用の砂時計の砂がすべて落ちきった瞬間が、計測開始から正確に9分後となります。

<正解のまとめ>

  1. まず、5分計と8分計を同時にスタートさせる。
  2. 5分計の砂がすべて落ちたら、すぐに5分計だけをひっくり返す。ここで9分間の計測を正式に開始する。
  3. 8分計の砂がすべて落ちたら、5分計と8分計の両方を同時にひっくり返す。
  4. 再び5分計の砂がすべて落ちたら、8分計だけをひっくり返す。
  5. 8分計の砂がすべて落ちた瞬間が、計測開始からちょうど9分後となる。

この問題から学ぶこと

この砂時計の問題は、単に2つの砂時計の「差」をうまく使うという着想だけでは解けない複雑さを持っていました。ポイントは、「ひっくり返してすぐに計測を始めない」という常識破りの発想と、「砂が落ちきる前にひっくり返す」という柔軟な思考でした。私たちは「砂時計は、こうやって使うものだ」という固定観念にとらわれがちですが、その常識を疑って考えられるかどうかが、問題解決の鍵を握っていたのです。

「これは、こういうものだ」という思い込みを捨てて考えることで、閉塞した状況から突破口が開けることがあります。本稿で紹介した問題は、『もっと!!頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から抜粋した内容です。本書では、今回のような「読むほどに賢くなる問題」が多数収録されており、あなたの論理的思考力を飛躍的に向上させる手助けとなるでしょう。


参考文献:

  • 野村裕之著, 『もっと!!頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』, ダイヤモンド社刊, 2025年.