世田谷の高級住宅街に佇む「東急ドエル・アルス世田谷フロレスタ」。憧れのマイホームとして購入した住民たちを待ち受けていたのは、施工不良という悪夢でした。今回は、地下ピット問題に続き発覚した耐震スリット不足問題を中心に、住民たちの苦悩と東急グループの対応、そして違法建築の真相に迫ります。
地下ピット問題に続く新たな不安:耐震スリット不足疑惑
2019年2月、地下ピットの施工不良が発覚したフロレスタ。住民たちの不安はさらに深まり、耐震スリットの確認を求める声が上がりました。耐震スリットとは、地震の揺れを吸収するための重要な構造部分。当時、大手デベロッパーによる耐震スリット不足が社会問題化していたこともあり、住民たちはフロレスタでも同様の問題が起きているのではないかと懸念を抱いたのです。
地下の施工不良の様子
当初、東急不動産側は住民たちの訴えに対し、組合自身で調査するようにと突き放すような対応を取っていました。しかし、住民たちの強い要望を受け、ついに耐震スリットの調査が開始されることとなりました。
簡易検査で判明した衝撃の事実:スリットが存在しない
2019年9月、住民たちは民間会社に依頼し、1階の簡易検査を実施。その結果は、住民たちの最悪の fears fearsを現実のものとするものでした。なんと、耐震スリットが全く存在しなかったのです。
補強工事が施されたマンションのエントランス
この衝撃的な事実を東急不動産側に報告すると、「こちらで調べます」という回答が返ってきました。しかし、その後の対応は遅々として進まず、住民たちの不安は募るばかりでした。「建築基準法に適合した建物」と主張する東急不動産。しかし、地下ピット問題に続き耐震スリット不足も発覚し、住民たちは東急不動産の言葉に不信感を抱くようになっていきます。
行政のお墨付きと住民の不信感:補助金交付マンションの闇
フロレスタは、国、都、区から総額約1億5000万円の公的補助金を受けている優良建築物とされていました。行政のお墨付きを得ているマンションであることを強調する東急不動産。しかし、住民たちは、その言葉の裏に隠された真実を徐々に明らかにすることになります。
著名な建築コンサルタントであるA氏(仮名)は、「公的補助金の交付は、必ずしも建物の安全性を保証するものではない」と指摘します。「審査基準を満たしていれば補助金は交付されるため、施工不良が見落とされる可能性もゼロではない」とのこと。A氏の言葉は、住民たちの不信感をさらに深めることとなりました。
2020年以降の調査で、さらに深刻な問題が明らかになっていきます。住民たちの悪夢は、まだ終わっていなかったのです。