【大河ドラマ「べらぼう」初回視聴率低迷?】史実とフィクションの狭間で揺れる時代劇の魅力

江戸時代中期、吉原遊郭を舞台に、蔦屋重三郎の波乱万丈な人生を描いたNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝といった錚々たる芸術家たちを見出し、謎多き東洲斎写楽を世に送り出した希代の出版プロデューサーの物語は、放送前から大きな話題を呼んでいました。大河初出演となる横浜流星さん演じる蔦屋重三郎、そして死体役として現役セクシー女優を起用するなど、斬新な演出も注目を集めました。

alt="横浜流星演じる蔦屋重三郎の凛々しい姿"alt="横浜流星演じる蔦屋重三郎の凛々しい姿"

史実との乖離?視聴者からのツッコミ

第1話は、幼少期の重三郎が貧困の中で赤本を読み聞かせてもらった元花魁の死から幕を開け、波乱に満ちた人生を予感させました。しかし、渡辺謙さん演じる田沼意次に重三郎が直談判するシーンが物議を醸しています。吉原の窮状を訴える重三郎に対し、意次が助言を与える展開に、視聴者からは「町人が大役人に直接会えるはずがない」「ファンタジーすぎる」といったツッコミが相次ぎました。

時代劇における“脚色”の是非

ある制作会社プロデューサーは、大河ドラマにおけるこうした脚色について、「たまにあること」と前置きしつつ、近年の傾向を指摘します。「以前は大河ドラマは時代考証を重視していましたが、最近は史実と異なる描写が目立ちます。例えば『どうする家康』の瀬名や『光る君へ』における紫式部と藤原道長の関係性など、視聴者の期待を裏切るような展開もありました。」

これらの作品は平均視聴率が低迷し、歴代ワーストを記録した『いだてん』に迫る勢いです。「大河ドラマには歴史に精通したファンが多く、史実との乖離は視聴者離れに繋がります。無理な設定は逆効果になる可能性が高い」とプロデューサーは警鐘を鳴らします。

「べらぼう」の今後の展望は?

「べらぼう」の初回視聴率は12.3%(関東地区)と前作を下回る結果となりました。江戸時代中期という馴染みの薄い時代設定も、視聴率低迷の一因と考えられます。今後の展開で視聴者を取り戻せるのか、注目が集まります。

史実とフィクションのバランス

時代劇において、史実をどこまで忠実に再現するかは常に議論の的となります。エンターテイメント性を高めるための脚色は必要不可欠ですが、史実とのバランスを欠くと視聴者の反感を買ってしまう可能性があります。「べらぼう」は、史実とフィクションの狭間で揺れる時代劇の難しさを改めて浮き彫りにしました。