韓国では12月3日の非常戒厳令発令、そして尹錫悦大統領の弾劾訴追という激動の中、政局は混迷を極めています。国民の不安が高まる一方で、最新の世論調査では意外な結果も出ており、今後の政局の行方が注目されています。
非常戒厳令と弾劾訴追:国民の反応は?
非常戒厳令発令直後、国民の力支持率は急落しましたが、その後徐々に回復傾向を見せています。一方、共に民主党は尹大統領に続き韓悳洙首相の弾劾訴追も行ったものの、支持率は下落傾向にあるという調査結果も出ています。
韓国の国会議事堂
一部の専門家は、共に民主党の強硬な姿勢が、与党支持層の結集を招き、中道層の離反にも繋がっている可能性を指摘しています。例えば、政治評論家のキム・ヨンチョル氏は「過激な発言は時に支持層を固める一方で、穏健派の離反を招くリスクもある」と分析しています。
支持率調査に見る与野党の攻防
ハンギルリサーチとクッキーニュースの合同調査(今月4-6日実施、1013人対象)では、共に民主党37.0%、国民の力36.3%と、両党の支持率はほぼ拮抗しています。注目すべきは、中道層や無党派層の動向です。国民の力は中道層で23.5%、無党派層で30.8%の支持を得ており、共に民主党はそれぞれ34.2%、22.2%となっています。
過去の朴槿恵元大統領弾劾時の状況と比較すると、今回の弾劾審判では与野党の支持率の差が縮まっていることが分かります。当時、共に民主党は40%台、セヌリ党(国民の力の旧称)は10%台と大きな開きがありました。
リアルメーターやエナジー経済新聞の調査でも、共に民主党支持率の下落と国民の力支持率の上昇傾向が確認されています。国民の力支持率は非常戒厳令発令直後の昨年12月第2週には25.7%でしたが、その後徐々に回復し、直近の調査では34.4%となっています。一方、共に民主党支持率は同時期に52.4%でしたが、現在は45.2%まで下落しています。
公捜処の捜査と政局への影響
高位公職者犯罪捜査処(公捜処)による尹大統領捜査の適法性や、公捜処に対する共に民主党の圧力疑惑なども、政局に影響を与えている可能性があります。尹大統領側は公捜処に対し「捜査なしに起訴か逮捕状を請求せよ」と主張しており、支持層の結集を狙った動きとの見方もあります。
混迷深まる韓国政局:今後の展望は?
非常戒厳令下で揺れる韓国政局。与野党の支持率の攻防は激化しており、今後の展開は予断を許しません。国民の関心は、弾劾審判の結果と今後の政権運営、そして経済への影響へと向けられています。