年末年始の長期休暇後、仕事始めとなる1月6日に退職代行サービスの利用が急増したというニュースが話題になっています。一体なぜ、この時期に退職を決意する人が多いのでしょうか?本記事では、その背景や労働者の心理、そして今後の働き方について考察します。
年末年始明けの退職代行サービス利用急増の現状
退職代行サービス「モームリ」によると、1月6日の依頼件数は過去最高の256件を記録。20〜30代の若者だけでなく、50〜60代の利用者も多かったとのことです。これは、昨年4月1日の過去最高記録180件、昨年の年始47件と比較しても、際立った増加と言えるでしょう。
alt
正社員、パート・アルバイト、契約社員、派遣社員など、様々な雇用形態の人が利用しており、退職理由は「退職相談の拒否」「相談しづらい雰囲気」「会社による隠蔽指示」など様々。中でも、精神的な苦痛を訴える人が多かったと、モームリを運営する株式会社アルバトロスの谷本慎二社長は語っています。
長期休暇がもたらす心理的影響
働き方評論家で千葉商科大学准教授の常見陽平氏は、長期休暇が労働者の行動を活発化させていると分析しています。最大9連休となった今年の年末年始は、仕事から離れリフレッシュできた一方、仕事を見つめ直す機会にもなりました。職場環境への不満や嫌悪感を感じずに過ごした時間があるからこそ、再び仕事に戻るハードルが高くなるのは当然と言えるでしょう。
ゴールデンウイークやお盆休み明けも退職の相談は増える傾向にありますが、今年の年始は特に増加が目立ちました。12月末の時点で既に80件の予約が入っていたという事実からも、年末年始に退職を決意する人がいかに多いかが分かります。パワハラや会社の制度、キャリアへの不安など、様々な要因が考えられますが、休暇中にじっくりと自分と向き合った結果、「この会社で働き続けたくない」という思いに至る人が増えているのではないでしょうか。
年末年始特有の環境要因
年末年始は家族や親戚、友人など、普段会わない人と会う機会が増えます。様々な人の意見や経験に触れることで、これまで会社で当たり前と思っていたことに疑問を感じたり、不満が生まれることもあるでしょう。これは若者だけでなく、社会人経験が豊富な50〜60代にも当てはまります。
alt
常見氏は、年末年始特有の休みの特徴と退職代行サービスの認知度向上を理由に挙げています。普段とは異なる環境での人間関係や情報に触れることで、自身の働き方やキャリアについて深く考えるきっかけとなるのでしょう。
今後の働き方を考える
今回の退職代行サービス利用急増は、現代社会における働き方の課題を浮き彫りにしています。企業は、従業員の精神的なケアや相談しやすい環境づくりに一層力を入れる必要があるでしょう。また、個人としても、自身のキャリアプランや働き方について定期的に見直し、より良い選択をすることが重要です。
この状況を改善していくためには、企業と個人が共に努力し、より働きやすい社会を築いていく必要があるでしょう。