AC/DCの結成の地として知られる、オーストラリア・シドニー郊外の家屋が、不動産開発業者によって誤って取り壊されたという衝撃的なニュースが世界中のファンを駆け巡りました。多くのファンにとって聖地とも言えるこの場所の歴史と、今回の出来事について詳しく見ていきましょう。
AC/DC誕生の舞台となった家
シドニー郊外バーウッドに位置するこの家は、長年AC/DCファンにとって特別な場所でした。バンドの中心メンバーであるヤング兄弟、マルコムとアンガスは、10代の頃、この家でAC/DCを結成しました。兄のジョージ・ヤングも、当時人気バンド、イージービーツのギタリストとして活躍し、共にこの家で暮らしていました。
AC/DCの結成の地となった家
スコットランドから移住してきたヤング一家は、移民向けの宿泊施設での生活を経て、1965年にこのバーウッドの家へ引っ越しました。イージービーツの人気が高まるにつれ、この家の前ではちょっとした騒動が起きたこともありました。ファン向けの雑誌に住所が掲載されたことで、地元の女子高生数百人が押し寄せ、中には家の中に侵入する者もいたそうです。
家屋の変遷と取り壊し
2023年3月、この家は不動産開発業者によって580万豪ドルで購入されました。しかし、先月、この業者が建物を誤って取り壊してしまったのです。業者は、建物の文化的価値を認識していなかったと説明しています。
「AC/DCとの歴史的なつながりについて、元の所有者から知らされていなかったことは非常に残念です。計画が進行した後でその事実を知り、大変ショックを受けています。」と業者の責任者は述べています。
業者は、この場所に144メートルの55階建てタワーを建設する計画を進めており、ホテルルーム120室と手頃な価格の住居48室が入る予定とのことです。
文化遺産としての価値と今後の展望
20世紀初頭に建てられた「フェデレーション建築」様式のこの家は、ヤング一家が1978年に去った後、老朽化が進み、売春宿や医療施設として利用された時期もありました。2015年には地元自治体によって文化遺産登録の審査が行われましたが、AC/DCとの関連期間が短いことなどを理由に登録は見送られました。
AC/DCの壁画
自治体は、AC/DCの功績を称える取り組みを継続しており、近隣にバンドをテーマにした壁画を制作しています。また、解体業者も、回収した建材を使ってファンが集まれる特別な空間を作る計画を立てているそうです。
今回の出来事は、建物の歴史的価値を再認識させると共に、文化遺産保護の重要性を改めて問いかけるものとなりました。今後の展開が注目されます。
