韓国旅行で避けたい!日本人がうっかり犯しがちなマナー違反と文化の違い

日本の隣国である韓国は、年間を通じて多くの日本人旅行者に選ばれる人気の渡航先です。JTBが発表した年末年始の海外旅行先予測でも、韓国はトップに立っており、ハワイやヨーロッパを抑える結果となりました。日本と韓国は地理的に近く、歴史的にも深いつながりがあるため、文化やマナーにも共通点が多い一方で、全く異なる習慣も少なくありません。特に、公共交通機関での飲食マナーや空港での撮影禁止など、現地で思わぬ「赤っ恥」をかかないために、事前に知っておくべき常識があります。本記事では、複数回渡韓経験のある旅行ジャーナリストの解説を基に、日本人が見落としがちなマナー違反と韓国の常識を詳しくご紹介します。

公共交通機関での飲食は原則NG

韓国に到着後、ホテルへの移動にリムジンバスや鉄道などの公共交通機関を利用する方は多いでしょう。そこで最も注意すべきなのが「車内飲食禁止」のルールです。日本では地下鉄や路線バスで飲食が厳しく禁じられている光景はほとんど見られませんが、韓国では路線バスや地下鉄において、液体が漏れやすいコーヒーや匂いの強いキムチなどの飲食物の持ち込みは基本的に禁止されています。最悪の場合、乗車拒否されたり、罰金の対象となることもあります。ただし、ペットボトル飲料やお菓子など、しっかりと密閉された飲食物であれば持ち込み自体は可能です。

実際、韓国の公共交通機関の車内で水を飲む人すら稀であり、「車内で飲食する行為はマナー違反」という意識が徹底されています。空港リムジンバスや高速鉄道KTXなど、旅行者の利用が多い交通機関では、路線バスや地下鉄ほど規則は厳しくないものの、それでも車内で飲食する韓国人はほとんど見かけません。バスの運転手によっては対応が異なるケースもありますが、基本的には乗車前に飲食を済ませておくのが無難です。筆者も、買ったばかりのコーヒーを車内へ持ち込もうとして、その場で捨てるしかなかった日本人旅行者の話を聞いたことがあります。なお、この車内飲食禁止のルールは韓国に限らず、台湾、中国、香港、シンガポール、タイ、そして欧米の多くの国でも近距離の公共交通機関で適用されており、水を飲むだけでも罰金が科される場合があるため、海外旅行の際は特に注意が必要です。

空港のリムジンバス乗り場に停車するバス。韓国では公共交通機関での飲食は控えめが常識空港のリムジンバス乗り場に停車するバス。韓国では公共交通機関での飲食は控えめが常識

空港での記念撮影は「軍事機密」扱いになる可能性も

旅の思い出に写真を撮ることは、スマートフォンが普及した現代において一般的な行為ですが、韓国で特に気を付けたいのが「空港での撮影」です。韓国の空港では「No Photography(撮影禁止)」の看板が設置されていたり、機内で「撮影は禁止されています」というアナウンスが流れたりすることは珍しくありません。例えば、ソウル金浦、釜山金海、大邱、清州など、日本からの直行便も多い主要な空港は、軍用空港としての機能も兼ね備えているため、撮影が厳しく禁じられている場所が多いのです。

ご存じの通り、韓国は1953年7月に北朝鮮と休戦協定を結んだものの、終戦宣言はまだ出されておらず、現在も事実上の戦争状態が続いています。そのため、徴兵制も維持されており、韓国人が空港で熱心に写真を撮る光景は全く見られません。空港は軍事的な観点から重要な拠点と見なされることが多く、撮影行為が軍事機密に触れる可能性も指摘されています。韓国だけでなく、台湾、中国、インド、中東などの国々でも、空港や駅、港湾といった場所では特に注意が必要です。在日大使館の公式サイトなどでも、海外での軍事施設や重要拠点での撮影に関する注意喚起が掲載されているため、旅行前に確認することをお勧めします。

快適な韓国旅行のために異文化理解を深めよう

韓国旅行を心から楽しむためには、文化や習慣の違いを理解し、尊重する姿勢が不可欠です。公共交通機関での飲食マナーや空港での撮影に関する注意点など、日本とは異なる常識を知っておくことで、現地での予期せぬトラブルやマナー違反を未然に防ぎ、より快適で充実した旅となるでしょう。隣国でありながらも多様な顔を持つ韓国の文化に触れ、異文化への理解を深めることが、素晴らしい旅行体験へと繋がります。