大阪万博:夢洲に輝く未来への課題、持続可能性への問いかけ

大阪・関西万博、いよいよ2025年4月13日に開幕。世界中から人々が集い、地球規模の課題解決に向けて知恵を出し合う一大イベント。しかし、その輝かしい未来の裏側には、持続可能性(サステナビリティ)に関する課題も潜んでいるのです。今回は、万博建設における木材問題、人工芝の採用、そして真の意義について考えてみましょう。

大阪万博の大屋根、木材の選択に隠されたジレンマ

alt 大阪万博の大屋根リング。国産材と外国産材が使用されている。alt 大阪万博の大屋根リング。国産材と外国産材が使用されている。

万博のシンボル、藤本壮介氏設計による世界最大級の木造建築「大屋根リング」。壮大なデザインに期待が高まる一方で、建材となる木材に外国産材が約3割使用されているという現状。日本国際博覧会協会広報部によると、国産材は約7割とのことですが、なぜCO2排出量の多い外国産材を使う選択をしたのでしょうか?林野庁森林整備部木材利用課の木村氏(仮名)は、木材の価格変動や安定供給の難しさ、調達期間の短縮といった課題があったと指摘しています。

国産材活用は、日本の林業活性化、CO2吸収量の増加、生物多様性保全など多くのメリットをもたらします。関西には間伐が必要な森林も多く存在し、針葉樹から広葉樹への転換は森林の豊かさ向上に繋がります。コスト面だけでなく、環境への影響も考慮した材料選択が求められます。

夢洲の海と人工芝、未来への責任

海外パビリオン縮小に伴い、空きスペースに採用された人工芝。生分解性素材でもない人工芝が、海に囲まれた夢洲で使用されることに疑問の声が上がっています。海洋マイクロプラスチック問題が深刻化する中、この選択はなぜなのでしょうか?

海洋環境保全の専門家、田中氏(仮名)は、人工芝の耐久性、管理の容易さ、景観維持といった点が評価された一方で、海洋生態系への影響に対する認識が不足していた可能性を指摘します。万博という国際的な舞台で、環境問題への意識を高める機会を逃したことは残念です。

万博の真価、未来を担う子どもたちへ

度重なる予算問題、工期問題。メディアの注目はこれらの問題に集中し、環境問題への関心は薄く、優先順位が下がった可能性も否めません。クリック数重視のメディアの現状も、この状況に拍車をかけていると言えるでしょう。

しかし、万博には未来を担う子どもたちにとってかけがえのない価値があります。多様な文化に触れ、五感を刺激する体験は、子どもたちの知的好奇心、創造性を育み、世界への視野を広げます。

万博は、子どもたちが世界を体感し、日本の文化を誇りに思う貴重な機会。運営に関わる全ての判断において、環境への配慮がなされているか、子どもたちの学びの場としてふさわしいものとなっているか、私たち大人一人ひとりがしっかりと見守る必要があります。