イーロン・マスク氏の欧州政治介入に各国警戒 ドイツ総選挙への影響は?

イーロン・マスク氏が欧州の極右・急進右派政党への支持を表明し、物議を醸しています。巨額の富とSNSでの影響力を駆使したマスク氏の動向は、今後の欧州政治を揺るがす可能性を秘めています。特に2月に総選挙を控えるドイツへの影響が懸念されています。一体何が起こっているのでしょうか?

マスク氏、ドイツ急進右派「AfD」を全面支持

マスク氏は自身のSNSであるX(旧Twitter)で、ドイツの急進右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の共同党首、アリス・ワイデル氏と対談。「ドイツ国民はAfDを支持する必要がある」と発言し、同党への投票を呼びかけました。

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世界一の富豪として知られるマスク氏は、トランプ前米大統領と親交があり、移民排斥などを掲げる欧州右派とも思想的に共鳴していると言われています。ドイツではAfDが世論調査で支持率2位につけており、マスク氏の支持表明はAfDの追い風となる可能性があります。

75分間の対談で、マスク氏はワイデル氏を「非常に合理的で常識的」と称賛。これは、昨年末にショルツ首相を「無能なばか」と批判し、辞任を要求したのとは対照的な態度です。

イギリスでも政権交代を画策か

マスク氏の「政治介入」はドイツにとどまりません。イギリスでも次期総選挙を前に、右派ポピュリスト政党への支持を表明し、献金も示唆しているとの報道があります。フィナンシャル・タイムズ紙は、マスク氏がスターマー首相の交代を画策していると報じました。

スターマー氏が検事総長時代に、白人児童への性的虐待事件を巡り、パキスタン系移民の容疑者の起訴を見送ったことが、マスク氏の批判の理由とされています。

各国首脳から懸念の声

Xで2億人以上のフォロワーを持つマスク氏の影響力は絶大です。欧州各国は、インターネット上で巨大な影響力を持つマスク氏の動向に警戒感を強めています。昨年11月のルーマニア大統領選では、TikTokで選挙戦を展開した泡沫候補が得票率1位となった事例もあり、SNSの影響力の大きさが改めて認識されています。

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マクロン仏大統領は、マスク氏の動きを念頭に「IT業界の大金持ちが選挙に直接介入するとは、10年前には想像もできなかった」と批判。ショルツ独首相も「ドイツの将来を決めるのはSNSのオーナーではない」と反論しています。

欧州政治の行方は

マスク氏の欧州政治への介入は、今後の選挙結果に大きな影響を与える可能性があります。有権者は、マスク氏の言動に左右されることなく、冷静な判断に基づいて投票することが重要です。今後の動向に注目が集まります。