都知事選で注目を集めた石丸伸二氏が立ち上げる新党。その設立記者会見をめぐり、開催中止、参加条件厳格化など、波紋が広がっています。記者クラブ制度のあり方、そしてネット時代のジャーナリズムの課題を浮き彫りにするこの騒動、一体何が起きているのでしょうか?
都庁記者クラブ会見が中止に、その理由は?
元安芸高田市長で、昨年の都知事選で話題となった石丸伸二氏。今夏の都議選に向けて新党設立を表明し、都庁記者クラブで会見を開く予定でした。しかし、この会見は突如中止に。理由は、記者クラブ宛の案内がネットに流出し、誰でも参加できる状態になってしまったこと。石丸氏側は「誰が来るかわからない状況はリスクが高い」と説明し、セキュリティ上の懸念を表明しました。
都庁記者クラブ会見中止の背景
従来、都庁記者クラブでの会見は、フリージャーナリストも参加申請すれば出席できる運用が一般的でした。今回のケースも同様の運用を想定していたようですが、想定外の事態に発展した形です。「ジャーナリズムにおける公開性と安全性のバランス」という難しい問題を突きつける形となりました。メディアコンサルタントの山田一郎氏(仮名)は、「情報公開の重要性と安全確保の両立は、現代社会における大きな課題です。今回の件は、その難しさを改めて示すものと言えるでしょう」と指摘しています。
厳格化された参加条件、その背景とは?
中止となった会見ですが、その後、新たな案内と共に再設定されました。しかし、そこには厳しい参加条件が。都庁記者クラブ非所属メディアは事前申請・許可制となり、許可基準は「既存マスコミか、登録者100万人以上のネット媒体」とされました。さらに、会見進行を妨げる言動があれば途中退室という厳しい措置も。
この「登録者100万人」という高いハードルは、多くのフリージャーナリスト、そして小規模メディアの参加を事実上不可能にするものです。総理大臣会見よりも厳しいとも言えるこの条件設定の背景には、近年の記者会見における混乱も影響していると考えられます。
アテンションエコノミーとジャーナリズムの葛藤
近年の記者会見では、建設的な質問の枠を超えた発言や、自己顕示的なパフォーマンスが目立つようになっています。再生数や注目度を重視する「アテンションエコノミー」の浸透が、ジャーナリズムの現場にも影を落としていると言えるでしょう。
アテンションエコノミーがジャーナリズムに及ぼす影響
石丸新党会見騒動は、まさにこのアテンションエコノミーとジャーナリズムの衝突を象徴する出来事と言えるでしょう。ジャーナリストの佐藤花子氏(仮名)は、「真摯な取材活動と、注目を集めるためのパフォーマンスの境界線は、ますます曖昧になってきている。メディア関係者は、この問題に真剣に向き合う必要がある」と警鐘を鳴らしています。
記者クラブ制度の再考を迫る
今回の騒動は、記者クラブ制度のあり方自体にも疑問を投げかけています。閉鎖的な記者クラブ制度が、情報公開の妨げになっているのではないかという批判は以前から存在していました。
より多くの人が参加でき、建設的な議論が行われる記者会見のあり方とは?石丸新党設立会見騒動は、私たちにこの重要な問いを突きつけています。今後の展開が注目されます。