日本郵便、違約金制度見直しも不信の声 一方的な通告に委託会社困惑

日本郵便が、配達委託会社への違約金制度を見直したことが話題となっています。朝日新聞の取材を受けた直後に全国の郵便局へ通知された今回の変更。しかし、当事者である委託会社への事前の調査やヒアリングは行われておらず、一方的な通告に不信感と困惑が広がっています。本記事では、新基準の内容や委託会社の声、そして違約金制度のあり方について深く掘り下げていきます。

委託会社「一方的な通告だ」 ヒアリングなしの変更に不信感

朝日新聞の取材申し入れの翌日、日本郵便は違約金制度の見直しを全国の郵便局に通知しました。しかし、この変更は委託会社への事前調査やヒアリングなしに行われたため、委託会社からは不信の声が上がっています。

大阪府内のある郵便局と契約する50代の委託会社社長は、「なぜ我々にヒアリングせず、言い分を聞かないまま変更を決めるのか。一方的な通告だ」と憤りを露わにしています。下請法は下請け事業者の利益保護を目的としており、契約変更の際は下請けに事情を聴くことが求められます。しかし、今回の見直しに際して、委託会社への調査は行われていませんでした。

日本郵便は「違約金の対象及び金額などを調査した」としていますが、この社長は「違約金は委託会社との契約なのだから、対象や金額が適切であるかどうか委託側にも聞くのが筋だ」と指摘しています。

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新基準でも違約金徴収は継続 委託会社「納得いかない」

今回の見直しで違約金制度の仕組みは変更されましたが、違約金自体が撤廃されたわけではありません。この点についても、委託会社からは「変更後も違約金を取ること自体が残念だし、納得はいかない」という声が上がっています。

例えば、以前は誤配1件につき5,000円の違約金が科され、2回目以降は1万円に倍増するという仕組みでした。新基準ではこの仕組みはなくなりましたが、そもそも5,000円という金額は数十個分の配達料に相当する高額であり、違約金の使い道などの根拠も示されていないと、委託会社は訴えています。

日本郵便は誤配達についての違約金徴収を「再発防止を求めるためのもの」としていますが、前述の社長は「いまだに違約金を取ることが防止策になると思っているのが恐ろしい」と批判しています。

違約金制度のあり方、再考を

今回の日本郵便の対応は、下請法の精神に照らして疑問が残ります。一方的な契約変更は、委託会社の経営を圧迫する可能性もあり、再配達問題の根本的な解決には繋がりません。

配送サービスの質の向上と、委託会社の労働環境の改善を両立させるためには、双方が納得できる形での制度設計が不可欠です。日本郵便には、委託会社の声に真摯に耳を傾け、より公正で透明性のある違約金制度の構築が求められます。 今後の動向に注目が集まります。