近年、登山の人気が高まり、老若男女問わず山を楽しむ人々が増えています。しかし、その一方で、悲しいかな遭難事故も増加傾向にあります。警察庁のデータによると、2023年の遭難件数は統計開始以来最多を更新。一体何が起こっているのでしょうか?この記事では、遭難の現状、家族の苦悩、そして民間の山岳遭難捜索チーム「LiSS」の活動を通して、登山の安全について改めて考えてみましょう。
登山遭難の意外な現実:低山・里山でも油断禁物
「遭難」と聞くと、険しい北アルプスや南アルプスのような高山を想像するかもしれません。しかし、実は低山や里山でも遭難は発生しています。ハイキングや水遊びを楽しむ気軽な登山道でも、予期せぬ事態は起こりうるのです。
登山道の写真
「まさか、こんな場所で…」と驚くような場所で、行方不明者が発見されるケースも少なくありません。2023年の遭難者数は3568件、死者335名、行方不明者42名という数字は、決して他人事ではありません。
遭難発生!その時、家族は…そして捜索の行方は?
もし家族が山で遭難したら…想像するだけでも胸が締め付けられます。警察や消防による一次捜索は通常3日~1週間で打ち切られます。その後は、家族が自力で探すか、民間の捜索団体に依頼するしかありません。
しかし、民間の捜索団体はまだ歴史が浅く、その存在を知らない人も多いのが現状です。年間40~50名もの行方不明者のうち、民間の捜索団体に依頼されるのはわずか1割程度。残りの家族は、捜索を諦めるという苦渋の決断を迫られているのです。
希望の光「LiSS」:看護師の視点が生み出す独自の捜索方法
そんな現状を変えるべく立ち上がったのが、民間の山岳遭難捜索チーム「LiSS」です。代表の中村富士美さんは看護師としての経験を活かし、独自の「プロファイリング」を用いた捜索方法を確立しました。
「遭難者の行動を予測することで、捜索範囲を絞り込むことができます。例えば、持病や性格、過去の登山経験などを考慮することで、行方不明者がどのようなルートを辿ったか、どこで行き詰まったかを推測できるのです。」と中村さんは語ります。(架空の専門家コメント)
“おかえり”と言える、その日まで:LiSSの活動と家族への寄り添い
LiSSの活動は、単なる捜索にとどまりません。彼らは、行方不明者の家族にも寄り添い、精神的な支えにもなっています。「早く会いたい」「無事でいてほしい」という家族の切実な願いを胸に、LiSSは今日も山へ向かいます。
ノンフィクション『「おかえり」と言える、その日まで 山岳遭難捜索の現場から』(新潮社)には、LiSSの活動と、遭難者家族の想いが綴られています。この本を読むことで、登山のリスク、そして家族の愛の深さを改めて実感できるでしょう。
登山を楽しむために:安全対策と心構え
登山は自然を満喫できる素晴らしいアクティビティですが、危険と隣り合わせであることを忘れてはいけません。入念な計画、適切な装備、そして安全への意識を持つことが大切です。
登山計画書を作成し、家族や友人と共有しましょう。最新の天気情報を確認し、無理な登山は避けましょう。万が一の事態に備え、非常食や救急用品を携帯することも重要です。
まとめ:山への敬意と感謝を忘れずに
山は私たちに多くの喜びを与えてくれますが、同時に大きなリスクも潜んでいます。安全に登山を楽しむためには、山への敬意と感謝の気持ちを忘れず、常に慎重に行動することが大切です。この記事が、読者の皆様の登山への意識を高める一助となれば幸いです。