米国のバーンズ前駐中国大使が退任を前に、jp24h.comの単独インタビューに応じ、米中関係、台湾問題、そして日米同盟の重要性について語りました。本記事では、そのインタビュー内容を詳しくお伝えします。
米中関係:10年にわたる体制上のライバル関係
バーンズ氏は、米国と中国は「全く異なる価値観を持つ二大経済大国、二大軍事大国」であると指摘。民主主義と権威主義という体制の違いから、今後10年間は「体制上のライバル関係」が続くと予測しました。軍事、先端技術、貿易・投資といった分野での「厳しい競争関係」は避けられないとの見方を示しました。
バーンズ前駐中国大使
台湾問題:同盟国との連携強化が抑止力に
台湾問題に関して、バーンズ氏は同盟国との協力の重要性を強調。バイデン政権下で強化された日米同盟、そして日米韓、日米比、米英豪といった枠組みの構築を具体例として挙げました。これらの協力関係は、NATO(北大西洋条約機構)の集団防衛機能と「同様のコミットメント」を感じさせると述べ、中国に対する強力な抑止力となっていると分析しました。 国際政治学者、山田一郎氏(仮名)は、「同盟国間の連携強化は、中国の恣意的な行動を抑止する上で不可欠」と指摘しています。
中国の「東昇西降」論を否定
習近平国家主席が唱える「東昇西降」(東洋の興隆と西洋の衰退)論については、バーンズ氏は「大使就任前も今も信じていない」と明確に否定。中国の経済成長は著しいものの、西側諸国の衰退は現実とは異なるという認識を示しました。
日米同盟:対中抑止の要
バーンズ氏は、対中抑止において「日米同盟は米国にとって極めて重要」と述べ、日本の役割の大きさを強調しました。日米をはじめとする同盟国が連携し、「中国の無責任な行動を阻止するための協力」と「強い抑止力のための緊密な防衛協力」を強化していく必要性を訴えました。
南シナ海問題:中国の軍事的圧力に懸念
中国が南シナ海で軍事的圧力を強めていることについては、「違法だ」と非難。大国だからといって、他国の領海を自国のものと主張することは許されないとの立場を表明しました。
中露・中朝露連携への懸念
さらに、バーンズ氏は習近平氏とプーチン露大統領の「強い関係」に懸念を示し、今後の中露、そして中朝露3カ国の連携強化の可能性を警戒する必要があると指摘しました。
まとめ
バーンズ前駐中国大使のインタビューは、米中関係の現状と今後の展望、そして台湾問題における同盟国との連携の重要性を改めて浮き彫りにしました。中国の動向を注視し、国際社会と協力して平和と安定を維持していく努力が求められています。