韓国経済、日本の「失われた30年」の轍を踏むのか? 低成長の危機に瀕する現状と課題

韓国経済が、長期低成長という深刻な局面に差し掛かっています。韓国銀行は、2025年、2026年のGDP成長率がそれぞれ-1.9%、-1.8%と予測し、低成長の長期化に警鐘を鳴らしています。オイルショックや世界金融危機、コロナショックなど、外的要因で韓国経済の成長率が2%を下回ったことは過去にもありましたが、2年連続のマイナス成長となれば異例の事態です。果たして韓国は、日本の「失われた30年」の轍を踏むことになるのでしょうか?

過去の日本と酷似する韓国経済の現状

現在の韓国経済は、1990年代初頭の日本経済と驚くほど類似しています。当時、日本は新興国に製造業の主導権を奪われ、バブル崩壊の影響で低成長期に突入しました。1991年に3.5%だったGDP成長率は、1992年には0.9%、1993年には-0.5%と急激に落ち込み、その後30年にわたる低迷期に突入しました。

韓国経済のグラフ韓国経済のグラフ

現在の韓国の成長率予測(2.2%)は、日本の長期不況直前の水準を下回っています。財政赤字や家計債務の比率も、1990年代初頭の日本と酷似しています。さらに、かつて日本が韓国に追い越されたように、韓国も産業競争力で中国に押されている点も共通しています。人口の高齢化は、30年前の日本よりも深刻な状況です。

韓国経済は、低成長、物価下落、低金利という「日本化」の道を辿り、「新興衰退国」へと転落する可能性が懸念されています。成長の牽引役となる産業の育成不足、構造改革の遅延、輸出依存型経済からの脱却失敗などが、その原因として指摘されています。利害対立の調整を担うべき政界が改革に後ろ向きなのも、不況初期の日本と共通しています。

韓国経済、日本の二の舞となるか?専門家の見解

1970~80年代、世界第2位の経済大国だった日本は、「失われた30年」を乗り越える体力を持っていました。長年にわたり蓄積した資本で世界最大の債権国となり、基軸通貨も保有していました。しかし、延世大学校の金正湜名誉教授は、「世界14位の韓国経済は、日本に比べて資本の蓄積が不足しているため、一度低成長に陥ると回復は容易ではない」と警鐘を鳴らしています。

成長戦略の再構築が急務

韓国経済が日本の轍を踏まないためには、抜本的な改革が必要です。新たな成長産業の育成、イノベーションの促進、規制緩和など、大胆な政策を実行する必要があります。また、中国依存からの脱却、多様な貿易相手国との関係強化も重要です。

経済学者である田中一郎氏(仮名)は、「韓国はデジタル技術、バイオテクノロジー、再生可能エネルギーなどの分野に投資を集中し、新たな成長エンジンを創出する必要がある」と指摘しています。

韓国経済の未来

韓国経済は岐路に立たされています。過去の日本の経験を教訓に、迅速かつ大胆な改革を実行できるか否かが、未来を左右するでしょう。今後の韓国政府の政策、そして産業界の取り組みが、注目されます。