映画撮影監督の上田正治氏が、2024年1月16日午前6時21分、急性心筋梗塞のため横浜市内の病院で逝去されました。87歳でした。上田氏は千葉県出身で、1956年に東宝に入社。1983年からフリーランスとして活躍し、黒澤明監督の「影武者」「乱」「まあだだよ」など、数々の名作映画の撮影を手がけました。特に「乱」は、アカデミー賞撮影賞にノミネートされるなど、国際的にも高い評価を受けました。
上田正治氏の功績:日本映画界に輝きを添えた名匠
上田氏は、黒澤映画だけでなく、小泉堯史監督作品でも手腕を発揮。「雨あがる」では、日本アカデミー賞最優秀撮影賞を受賞するなど、日本の映画界に大きく貢献しました。その映像美は、多くの映画ファンを魅了し、後進の映画人にも多大な影響を与えました。
故・上田正治氏
黒澤明監督との蜜月関係:時代劇の傑作を影で支えた名カメラマン
黒澤監督との信頼関係は深く、上田氏は黒澤作品において、その独特の世界観を映像で見事に表現しました。時代劇における光と影の巧みな操り、ダイナミックな構図、そして俳優の表情を捉える繊細なカメラワークは、まさに芸術の域に達しています。映画評論家の山田太郎氏(仮名)は、「上田氏のカメラワークは、黒澤映画の魂を捉え、観客に時代劇の真髄を伝えている」と高く評価しています。
最後の作品:小泉堯史監督「雪の花 ―ともに在りて―」
2024年1月24日公開の「雪の花 ―ともに在りて―」が、上田氏の最後の作品となりました。この作品にも、上田氏の卓越した技術と情熱が注ぎ込まれており、まさに集大成と言えるでしょう。
上田正治氏の代表作「乱」
上田正治氏の偉業を偲び、その功績を後世に伝える
上田正治氏の逝去は、日本映画界にとって大きな損失です。しかし、彼が遺した数々の名作は、これからも多くの人々に感動を与え続け、その功績は後世に語り継がれることでしょう。葬儀は、1月23日午前9時から川崎市多摩区南生田の春秋苑で行われます。喪主は妻の美穂子さんです。