北朝鮮の「生活総和」ノートが明らかにする徹底的な思想統制の実態

北朝鮮の日常に深く根付いた思想統制の実態が、学生や労働者の「生活総和」ノートを通して明らかになっています。jp24h.comでは、この驚くべき実態を詳しく解説し、北朝鮮社会の隠された側面に迫ります。

子供から大人まで、生活の隅々まで浸透する「生活総和」

「生活総和」とは、北朝鮮住民が定期的に行う自己批判と相互批判の会議のこと。学校、職場など、あらゆる組織で実施され、個人の生活や行動を細かく反省し、他者の過ちも指摘することが義務付けられています。この慣習は、幼い子供たちまでも巻き込み、社会全体を覆う監視網の一部となっています。

釜山東亜大学釜山ハナセンター長のカン・ドンワン氏は、脱北者から提供された学生の「生活総和」ノートを公開しました。そこには、子供たちが「金日成・金正日の教えに従えなかった」と反省する様子や、級友同士が互いを批判する内容が記されていました。

北朝鮮の学生が記した「生活総和ノート」北朝鮮の学生が記した「生活総和ノート」

例えば、ある学生は「学業に100%参加し、金正日将軍様が望むような立派な生徒になる」と決意表明しつつ、級友に対して「家が遠いという理由で早く帰ろうとするのではなく、勉強を優先すべきだ」と批判的な記述を残しています。

学校生活から休暇まで、すべてが監視の対象

「生活総和」ノートには、学校生活だけでなく、休暇期間中の行動や組織会議での反省点も詳細に記録されていました。これは、私生活を含むあらゆる行動が監視下に置かれていることを示唆しています。北朝鮮社会における個人の自由の制限、そして体制維持のための徹底的な統制が浮き彫りになっています。

海外派遣労働者や軍人にも及ぶ「生活総和」の網

「生活総和」は、学生だけでなく、海外派遣労働者や軍人にも適用されています。カン氏は、ロシアに派遣された北朝鮮労働者のノートも公開。そこには「党への忠誠を労働実績で証明せよ」といった党の指導内容が強調されていました。

さらに、ウクライナ軍が公開した北朝鮮軍兵士のメモには、「金正恩同志が次のようにおっしゃいました」という文で始まる指導内容が記され、兵士が「ロシアの物品を無意識にポケットに入れてしまった」と自己批判する様子が記されていました。

専門家の見解:北朝鮮社会の特異性を示す「生活総和」

北朝鮮研究の専門家であるA氏(仮名)は、「生活総和」について、「北朝鮮特有の統治方式であり、住民の思想と行動を厳しく統制する手段」と指摘しています。「この制度は、個人の自由を著しく制限し、体制への絶対的な服従を強いる効果がある」とA氏は分析します。

全世代を網羅する監視システム

「生活総和」は、子供から大人、国内から海外まで、北朝鮮住民の生活のあらゆる側面に浸透しています。これは、北朝鮮当局が体制維持のために、全世代を対象とした緻密な監視システムを構築していることを示しています。 この制度は、個人の行動を抑制し、体制からの逸脱を防ぐための重要なツールとして機能しているのです。