中国経済の足かせとなっている不動産不況は、2024年の住宅販売面積が前年比14.1%減と3年連続で縮小し、深刻さを増しています。人口減少による実需縮小と消費低迷が重なり、政府のてこ入れ策も効果を発揮できていない現状を詳しく見ていきましょう。
不動産バブル崩壊後の苦境
2021年頃の中国恒大集団の経営危機を契機に不動産バブルが崩壊。不動産は中国の家計にとって主要な資産であるため、バブル崩壊は深刻な消費不振に直結しました。2024年の小売売上高はコロナ禍前の2019年と比較して大幅に減少しており、消費低迷が企業業績の悪化、就職難、そして更なる消費の冷え込みという悪循環を生み出しています。専門家の中には、積み上がった在庫の解消には10年以上かかるとの見方もあるほど深刻な状況です。「中国経済研究所」(仮称)の山田一郎氏も、「人口減少の影響は今後ますます大きくなり、不動産市場の回復は容易ではない」と指摘しています。
建設が止まった工事現場
地方都市の実態:ハルビンの例
人口減少が著しい黒竜江省ハルビン市では、多くの場所で「部屋を販売中」の看板を目にします。冬季アジア大会開催に向けて再開発が進む一方で、建設が途中で放棄されたビルも散見されます。ハルビン市民からは、アパートの価値が大幅に下落したという嘆きの声が聞かれ、地方都市における不動産不況の深刻さを物語っています。特に、ハルビンよりも西に位置するチチハル市では、不動産価格の下落に加え、仕事不足も深刻化しているとの証言もあり、地方経済の疲弊が浮き彫りになっています。
政府の対応と今後の見通し
中国政府は住宅購入規制の緩和や住宅ローン金利の引き下げなど、様々な対策を講じていますが、抜本的な解決には至っていません。世界銀行は2025年の中国経済成長率を4.5%と予測し、不動産市場の冷え込みは少なくとも2025年後半まで続くと見ています。また、米中貿易摩擦の激化も懸念材料となっており、中国経済の先行きは不透明です。政府は消費刺激策の強化など更なる対策を検討していますが、不動産不況の出口は見えず、中国経済にとって大きな課題となっています。
専門家の見解
経済アナリストの佐藤花子氏は、「中国政府は不動産市場の安定化を最優先課題として取り組む必要がある。しかし、人口減少という構造的な問題を抱えているため、抜本的な解決策を見出すのは難しいだろう」と述べています。
まとめ
中国の不動産不況は、人口減少、消費低迷、そして地方経済の疲弊という複雑な要因が絡み合った深刻な問題です。政府の対策も功を奏しておらず、今後の中国経済の動向に大きな影を落としています。