ドナルド・トランプ米政権は8日、安全保障上の懸念を理由に、中国人やその他の「外国の敵対勢力」による農地購入の制限を開始すると発表しました。外国による米国農地の取得が、国家安全保障に対する「重大な脅威」であり、「米国に向けられる武器」として利用されているとの認識を示しています。
農務長官「国家安全保障への重大な脅威」
ブルック・ロリンズ農務長官は、他の閣僚らと共に国家農業安全保障行動計画を発表する中で、この措置が国家安全保障に対する「重大な脅威」に対処するために不可欠だと強調しました。同長官は、「中国共産党による米国農地の取得から、わが国の農業システムの犯罪的搾取まで、われわれはこれを繰り返し目にしている」と述べ、「米国の農業は、国民を養うためだけでなく、わが国を守り、農地を購入する外国の敵対勢力に立ち向かうためでもある」と付け加えました。
中国の米農地所有状況と買収済み農地の回収計画
農務省によると、中国は2023年末時点で11万2234ヘクタールの農地を所有しており、これは農地の外国人保有登録リストで20位にランクされています。ロリンズ農務長官は、トランプ政権が「すでに中国などの外国の敵対勢力に購入された農地を取り戻す」計画も進めていることに言及しました。
米国における中国所有の農地を示す地図。安全保障上の懸念に関連し、政策発表時にホワイトハウスで提示された資料。
国防長官「軍事基地周辺の土地所有者を把握する必要」
ピート・ヘグセス国防長官は、米軍基地周辺の農地を「外国の敵対勢力」に売却することを禁止する方針を示しました。ヘグセス国防長官は、「国防総省を率いる立場にある者として、米軍基地周辺の土地の所有者を把握しておきたい。それは常識だ」と主張し、「外国の敵対勢力は、もはや監視されていないと見なすことはできない」と続けました。
主要な中国人所有者の例:スミスフィールド・フーズ
米国農地を多く所有する中国人オーナーには、2013年に中国の持ち株会社、万洲国際(WHグループ)に買収された豚肉生産・食肉処理企業であるスミスフィールド・フーズも含まれています。
この制限措置は、米国が外国の敵対勢力による農地取得を単なる経済活動ではなく、安全保障上の課題として認識し、積極的な対策に乗り出したことを示しています。今後の買収や既存所有地への影響が注目されます。