米国のドナルド・トランプ大統領の通商交渉圧力が、発足から1カ月ほどたったばかりの李在明(イ・ジェミョン)政権の外交にとって大きな試験台になっている。魏聖洛(ウィ・ソンラク)安保室長が米国を訪問し、マルコ・ルビオ国務長官兼大統領補佐官代行(国家安全保障問題担当)と会って関税・安全保障両面の問題を解きほぐそうとしたが、米国側は通商交渉の進展を首脳会談と連携させるかのような態度を見せているという。ある外交消息筋は「米国側が、通商交渉の成果がなければ首脳会談もないという形で言っており、会談推進は具体的段階に進むことができていないらしい」と語った。
7日(現地時間)の魏室長とルビオ長官の会談は、「来月1日から全ての韓国製品に25%の相互関税を賦課する」というトランプ大統領の書簡が公開された後に行われた。韓国大統領室は、この日の会談で韓国側が「速やかに韓米首脳会談の開催を通して諸般の懸案において相互互恵的な結果を進展させていくことを希望する」と述べ、これに米国側は「共感を示した」―と伝えた。外交協議で首脳会談が確定すれば「いつ、どこで首脳会談を開催すると合意した」と発表するものだが、具体的な日程を確定させることはできなかったのだ。
米国側は「韓国を含む主要国を対象に関税書簡がきょう発送された」とし「実際に関税を賦課する時点である8月1日まで時間があるだけに、両国がその前までに合意に至るため、緊密にコミュニケーションを取っていきたい」と述べたという。韓米首脳会談についての明確な回答を避け、まず通商交渉の妥結を急ごうという意味だ。
これに関連して韓国大統領室は7日午後、金容範(キム・ヨンボム)政策室長主宰で「対米通商懸案関係部処対策会議」を開いた。金室長は、米国と最終合意をするには新政権発足後で時間が足りず「速やかな協議も重要だが国益を貫徹することの方が重要な価値」だと表明したという。関税交渉の妥結のために「速度戦」を展開するつもりはない、という意味だ。
特に、非関税障壁問題が韓米関係において大きな障害になっているといわれている。外交消息筋は「米国は“通商交渉がうまくいけば、あすにでもすぐに首脳会談をやろう”という形だが、精密地図データの持ち出し、牛肉・コメ輸入制限の緩和などは韓国政府としても容易には受け入れられない問題」と語った。