ウイグル族の窮状訴える娘の声:ノーベル賞候補の父、トフティ氏の無期懲役から9年

中国政府によるウイグル族弾圧の実態が、改めて注目されています。ノーベル平和賞候補にも名を連ねるウイグル族の経済学者、イリハム・トフティ氏の娘であるジェウヘルさん(30)が、日本で声を上げました。

ジェウヘルさん、ドキュメンタリー映画上映会で訴え

2024年1月16日、東京都内の在日米国大使館で行われたドキュメンタリー映画「All Static & Noise 耳障りな者たち」(2023年公開)の上映会に、ジェウヘルさんが参加しました。この映画は、抑圧されるウイグル族の現状を描いた作品で、ジェウヘルさん自身も出演し、父親であるトフティ氏が2013年に北京の空港で米国への出国を阻止された時の状況などを証言しています。

ジェウヘルさん、上映会でウイグル族の窮状を訴えるジェウヘルさん、上映会でウイグル族の窮状を訴える

ジェウヘルさんは上映会で、「中国では、高等教育を受け影響力のあるウイグル族やイスラム教の宗教者が社会への脅威とみなされ、収容所に送られている」と訴え、日本の人々にも現状を知ってほしいと呼びかけました。

父、トフティ氏の無期懲役判決から9年

トフティ氏は、ウイグル族の地位向上を訴える活動を行っていましたが、2014年に国家分裂罪で無期懲役の判決を受けました。それから9年、いまだに解放されていません。

イリハム・トフティ氏イリハム・トフティ氏

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルなどによると、中国政府は新疆ウイグル自治区で、ウイグル族をはじめとする少数民族に対して、大規模な拘束、強制労働、思想教育などの人権侵害を行っているとされています。ジェウヘルさんの訴えは、国際社会に改めて中国政府のウイグル族弾圧問題への関心を喚起するものです。

日本からの声、国際社会への影響

ジェウヘルさんは米国在住ですが、今回日本で声を上げたことで、日本からの注目も集まっています。日本政府は、中国政府に対し、ウイグル族の人権状況について懸念を表明してきました。ジェウヘルさんの訴えは、日本社会におけるウイグル問題への関心を高め、ひいては国際社会からの圧力を強める可能性を秘めています。

今後の展望

ジェウヘルさんは、今後も父親の解放とウイグル族の人権状況の改善に向けて、国際社会への働きかけを続けていくと表明しています。彼女の活動が、どのような変化をもたらすのか、引き続き注目していく必要があります。