仕事を評価され、昇進していくサラリーマンたち。いずれは管理職とされる役職に就き、給与も驚くほどアップ! 思わず笑みがこぼれるという人も。しかし管理職となったサラリーマンのなかには、後悔を口にする人も珍しくないようです。
「管理職に昇進してよかった!」が6割
橋本大輔さん(仮名・42歳)。新卒で入社した大手メーカーで働くこと20年。今や課長として15人ほどの部下を束ねています。どの役職以上を管理職とするのか明確な基準はなく、橋本さんの勤める会社では課長職以上が管理職と定められています。
管理職になってよかったことは?
――給与は段違いによくなりました。一応大台を突破しました
そう、ちょっと満足気。厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、課長職の大卒サラリーマン(平均年齢48.6歳)の平均給与は、従業員1,000人以上の大企業で月収61.5万円、賞与も含めた年収で1,055.9万円。係長職では月収で41.0万円、年収で734.4万円なので、年収では300万円ものジャンプアップ。自然とにっこりしてしまうのも無理はありません。
ただ管理職への昇進は、よいことばかりではありませんでした。
――上からの指示を下に伝え、何とかやる気にさせる。しかし下から出てくるのは不平・不満ばかり。そのまま伝えるわけにはいかず、とにかく悩む……上からも下からも板挟みで、ストレスが半端ありません
株式会社マイナビが行った『管理職の悩みと実態調査』によると、「管理職」になってよかったと感じている人は60.8%。役職ごとにみていくと、「本部長」が最も高く80.0%。橋本さんのように課長の場合は59.4%と、6割近い人が満足しています。
満足の理由を具体的にみていくと、「部下の成長に喜びを感じる」(50代女性・課長)「自分の課を持ってある程度自由な采配ができる」(20代男性・係長)「給料面での余裕で家庭も安定する」(20代男性・本部長)などの声があがりました。
一方で「管理職になって人生はどう変わったか」とネガティブな側面をきいてみると、「仕事の比重が増えた」が75.8%と最多。さらに「心身の健康が損なわれた」が68.9%、「プライベートや家族との時間が楽しめなくなった」55.4%、「転職を考えるようになった」43.5%、「キャリア的な将来の不安が増えた」40.0%と続きます。
さらに管理職としての悩みとして、「マネージャー業務の負荷が高い」が最多で28.1%。「パワハラなど、ハラスメントといわれるのを避けたい」が27.0%、「部下が成長しない、成長が遅い」が24.0%と続きます。