中居正広氏の騒動でフジテレビが火消しに失敗?会見の真意と危機管理の落とし穴

フジテレビの港浩一社長が1月17日に緊急会見を開きました。タレントの中居正広氏と女性をめぐるトラブルにフジテレビ社員が関与したという報道への対応と思われましたが、この会見はかえって火に油を注ぐ結果となってしまったようです。一体何が問題だったのでしょうか? 本稿では、会見の内容を振り返りつつ、企業の危機管理の観点からその問題点を紐解いていきます。

緊急会見の不可解な点

会見は一部メディアに限定され、ネットメディアやフリーランスの記者、当該報道を掲載した週刊誌などは排除されました。港社長の発言は、昨年12月にフジテレビが発表した見解とほぼ変わらず、社員の関与を全面否定するものでした。「第三者委員会」の設置を表明したものの、具体的な内容は明らかにされず、これまでの報道内容と矛盾する点も多々見られました。

フジテレビ港社長の緊急会見の様子フジテレビ港社長の緊急会見の様子

専門家が指摘する危機管理の失敗

危機管理コンサルタントの田中辰巳氏(株式会社リスク・ヘッジ取締役/仮名)は、今回の会見を「危機喚起」と評します。危機管理の基本は「感知」「解析」「解毒」「再生」の4段階ですが、会見は「解毒」にあたる重要な局面です。しかし、今回の会見は、メディアの質問を制限し、都合の良い情報のみを発信するなど、解毒効果が全く見られなかったと田中氏は指摘します。

第三者委員会の設置だけでは不十分

「第三者委員会」の設置についても、単に第三者を入れるだけでは不十分であり、日本弁護士連合会のガイドラインに沿った「第三者のみで構成」される委員会であるべきだと田中氏は主張します。また、調査結果が出る前に断定的な発言をすることは、委員会の意義を否定する行為だと警鐘を鳴らします。

証拠に基づいた説明の必要性

社員の関与を否定するのであれば、当該社員の当日の行動やアリバイを明確な証拠と共に示すべきです。「シロ」を証明するには、言葉ではなく証拠が不可欠であると田中氏は強調します。

中居正広氏中居正広氏

大谷翔平選手の対応との対比

田中氏は、大谷翔平選手が過去の疑惑に対し、具体的な証拠を提示して潔白を証明した事例を挙げ、フジテレビの対応と比較しています。明確な証拠を示すことで、疑惑を払拭し、信頼を回復できることを示す好例と言えるでしょう。

まとめ:フジテレビの今後の対応に注目

今回の会見は、フジテレビの危機管理体制の甘さを露呈する結果となりました。今後、どのように事態を収拾し、信頼を回復していくのか、その対応に注目が集まります。 真摯な姿勢で事実関係を解明し、説明責任を果たすことが求められています。