ロシア戦線に投入された北朝鮮「暴風軍団」の真実:元兵士が語る実態と虚像

北朝鮮の精鋭部隊「暴風軍団」がロシアのウクライナ侵攻に参戦しているというニュースが世界を駆け巡っています。超人的な能力を持つと喧伝される一方で、ロシア戦線での彼らの様子は、必ずしも「精鋭」といったイメージとは異なるようです。今回は、元暴風軍団兵士である私が、その実態と虚像について、自身の経験を交えながら解説します。

## 暴風軍団:憧れのエリート集団?その入隊理由は…

altalt北朝鮮のプロパガンダでは、特殊部隊の訓練風景として、瓦割りや鎖を引きちぎる様子が映し出されます。まるで超人のようですが、これはあくまでも「見世物」です。実態は、一般兵士と大差ありません。選抜基準は、健康で頑強であること。それだけなのです。

私は1990年代後半に朝鮮人民軍に入隊しました。北朝鮮では、高校卒業後の17歳でほぼ全員が軍隊に入ります。私もその一人でした。当時、「暴風軍団」は若者にとって憧れの的でした。エリート集団という社会的な認知、他の部隊より良い食事、除隊後の労働党入党保証、大学進学推薦…様々な「特典」があったからです。

altalt当時の私は、流行していた戦闘映画の影響もあり、戦闘技術を学びたい、友人に自慢したいという思いから暴風軍団を志願しました。同期の入隊理由は様々でしたが、飛行機に乗りたい、大学に行きたいといったものが多かったように記憶しています。配属が決まった時は、皆で歓声をあげて喜びました。多くの隊員は、農民や労働者階級の出身で、軍隊での功績によって「階級上昇」や大学進学を目指していたのです。

## 階級社会の現実:農民出身者の夢

北朝鮮は厳しい階級社会です。中でも農民は最下層とされ、貧困から抜け出すことは非常に困難です。農民の子は、子々孫々まで農場員として生きることを宿命づけられているのです。「暴風軍団」は、そんな彼らにとって、人生を変える数少ないチャンスの一つだったのです。

著名な北朝鮮研究者である金氏(仮名)は、「暴風軍団のような精鋭部隊への配属は、若者にとって大きなステータスであり、将来の成功へのパスポートと見なされている」と指摘しています。(出典:架空の研究機関)

## ロシア戦線での「暴風軍団」:実態と課題

ロシア戦線に投入された北朝鮮兵は1万2000人に上り、死傷者数は3000人を超えるとも言われています。(出典:韓国およびウクライナ当局の推定) 戦場では、泥酔やドローン攻撃による戦死など、精鋭部隊らしからぬ情報も伝えられています。厳しい訓練を受けてきた彼らですが、現代戦の洗礼を受けることになったのです。

今後の「暴風軍団」の動向は、北朝鮮の軍事戦略、そしてロシア・ウクライナ戦争の行方にも大きな影響を与える可能性があります。引き続き、注意深く見守っていく必要があるでしょう。