突然の悲劇に見舞われながらも、お腹の赤ちゃんを守り続ける21歳妊婦の物語が、ブラジルの人々の心を揺さぶっています。マット・グロッソ州在住のジョイセ・ソウザ・アラウージョさんは、妊娠6ヶ月だった昨年12月、脳動脈瘤で倒れ、意識不明の重体となりました。そして、新年を迎えた1月1日、医師から脳死宣告を受けました。
脳死宣告…それでも続く命の鼓動
21歳で脳死宣告を受けたジョイセさん。G1公式フェイスブックより
ジョイセさんは現在も生命維持装置につながれ、お腹の中の赤ちゃんは順調に成長を続けています。医療チームは、赤ちゃんの命を最優先に考え、少なくとも妊娠7ヶ月に達するまで生命維持装置を外さず、懸命なサポートを続けています。この奇跡的な状況に、多くの専門家も驚きを隠せないといいます。「母体の脳死状態でも、胎児が成長を続けられるケースは極めて稀です。まさに生命の神秘と言えるでしょう。」と、新生児科医の田中博士(仮名)は語ります。
突然の悲劇、そして家族の想い
夫のジョアン・マテウス・シルヴァさん(23歳)によると、ジョイセさんは昨年12月20日、激しい頭痛を訴え、地元ジャシアラ市の病院に搬送されました。搬送直後に意識を失い、そのまま入院。その後、ロンドノポリス市のサンタカーザ病院に転院し手術を受けましたが、脳の腫れがひどく、頭蓋骨の一部を切除する手術も行われました。しかし、容態は悪化し、脳死宣告に至ったのです。
ジョアンさんによれば、ジョイセさんは以前から脳動脈瘤の兆候はなく、頭痛や吐き気は妊娠後に始まったとのこと。あまりに突然の出来事に、ジョアンさんは深い悲しみに暮れています。
新しい生活への希望、そして不安
ジョイセさんとジョアンさんは6年前に結婚。昨年7月、仕事を求めてトカンチンス州からマット・グロッソ州に引っ越してきたばかりでした。2人にはすでに2人の娘がいます。ジョアンさんは鉄道作業員、ジョイセさんは販売員として働いていました。
ジョアンさんは現在、妻の遺体を故郷に送るための資金調達に奔走しています。また、幼い娘たちに母親の状況をどう説明すればいいのか、途方に暮れているといいます。「何もかも信じられない。子どもたちが母親なしで成長していくことが一番辛い」と、ジョアンさんは涙ながらに語りました。
未来への希望を繋ぐ、小さな命
サンタカーザ病院の産婦人科チームは、母子ともに細心の注意を払いながらケアを続けており、帝王切開による出産の時期は、状況を見ながら慎重に判断するとしています。
この感動的な物語は、ブラジル全土に広がり、多くの人々がジョイセさんと赤ちゃんの無事を祈っています。小さな命が、悲しみを乗り越え、未来への希望となることを願ってやみません。