2023年7月、札幌・ススキノのホテルで発生した凄惨な殺人事件。被害者は62歳の男性会社員。逮捕された田村親子3人のうち、父親である田村修被告(61)の裁判員裁判が札幌地裁で進んでいます。この事件は、娘である田村瑠奈被告(30)による父親への異常な支配、そして両親の服従という異様な親子関係を浮き彫りにしました。本記事では、公判で公開された会話記録を元に、事件の背景に迫ります。
引きこもり生活と支配的な娘
瑠奈被告は中学時代から不登校となり、18歳頃から自宅に引きこもる生活を送っていました。両親は常に娘の顔色を伺い、まるで奴隷のように扱われていた様子が伺えます。
裁判で公開された音声データは、修被告が日常的に娘との会話を録音していたもので、瑠奈被告によるモラハラともとれる言動の数々が記録されていました。
録音データが明らかにする異常な親子関係
2021年1月22日深夜に車内で録音されたデータでは、瑠奈被告が両親に対し、「消えろ!」「役立たず!」「金が足りない」などと罵倒する様子が記録されています。まるで女王様のように振る舞い、両親に金を要求する姿は、一般的な親子関係とはかけ離れています。「自分が一生暮らすために必要な金を残せ」という瑠奈被告の言葉からは、両親に対する支配欲、そして経済的な依存が見て取れます。
車内での会話の様子を想像させるイメージ画像
修被告は「必死に稼ぎます」と答える一方、瑠奈被告は母親に対し「とっとと売れや!そのクソアマを」と罵倒。修被告が「それはできません」と拒否すると、「あんたに決定権はない!こっちだ!とっとと売れ!!」と更に激昂する様子が記録されています。このやり取りからは、瑠奈被告が両親を人間として尊重せず、自分の所有物のように扱っていたことが分かります。家族関係カウンセラーの佐藤恵氏(仮名)は、「このような支配的な態度は、長年の引きこもり生活の中で歪んだ親子関係が形成された結果である可能性が高い」と指摘しています。
続く瑠奈被告のモラハラ発言
2023年5月4日の録音データでは、修被告が瑠奈被告に謝罪する場面から始まります。「申し訳ございませんでした」「確認が不十分でした」と繰り返し謝る修被告に対し、瑠奈被告は英語で怒鳴り散らし、「お前はいつもアイデアがない」「Do now!」などと命令口調で責め立てています。
これらの会話記録は、瑠奈被告が両親に対し、日常的に精神的な虐待を行っていたことを示唆しています。修被告は娘の要求に逆らえず、常に謝罪を繰り返すことで事態を収拾しようとしていたと考えられます。
事件の背景にあるもの
これらの音声データは、ススキノ殺人事件の背景に、異常な支配と服従の親子関係があったことを示唆しています。事件の真相究明、そして今後の裁判の行方に注目が集まります。
この事件をきっかけに、親子関係における支配や服従の問題、そして引きこもり支援の重要性について、改めて考える必要があるのではないでしょうか。