仮想通貨、特にビットコインの高騰は投資家の夢をかき立てますが、相続となると税金の問題が複雑になります。SNS上では、ビットコインの相続で税金が100%を超え、資産がマイナスになる可能性があると話題になっています。この記事では、仮想通貨の相続税と所得税の仕組み、そして節税対策について分かりやすく解説します。
ビットコイン相続の税金問題:100%超えは本当?
日経新聞のコラムで取り上げられた事例では、100BTCを約460万円で購入し、数年後に約14億3700万円に値上がりした場合、相続税55%に加え、売却益への所得税・住民税55%で合計110%の税金が発生する可能性が示唆されました。
ビットコインの価格チャート
これは一見すると二重課税のように思えますが、相続税は財産の「移転」、所得税は「売却益」に課税されるため、それぞれ独立した課税となります。つまり、高騰した仮想通貨を相続し、売却益を得ると、多額の税金が発生する可能性があるのです。この点について、鈴木洋輔税理士(事務所名:鈴木洋輔税理士事務所、事務所URL:https://famvision.jp/)に話を伺いました。
相続税と所得税:それぞれの課税ポイント
鈴木税理士によると、「相続税は財産の『移転』に着目し、所得税・住民税は売却益という『利益』に着目して課税されるため、それぞれ独立して課税される」とのこと。土地を相続した場合も、相続時に相続税、売却時に所得税・住民税が課税されるのと同じ理屈です。
仮想通貨も同様で、相続と売却という異なるタイミングで課税されるため、高騰した仮想通貨を相続した場合、相続税と売却益への所得税・住民税の合計が100%を超える可能性があるのです。
仮想通貨の相続税計算:評価額は?
仮想通貨の相続税評価額は、被相続人が亡くなった日の取引所の終値を基準に算出されます。価格変動の激しい仮想通貨の場合、相続発生時の評価額が高額になる可能性があり、結果として相続税も高額になるリスクがあります。
節税対策:賢く相続するために
仮想通貨の相続税対策として、贈与や生前対策信託などの方法が考えられます。贈与は年間110万円まで非課税枠を活用できます。生前対策信託は、受益者を指定することで相続財産を減らし、相続税の節税効果が期待できます。ただし、それぞれの方法にはメリット・デメリットがあるため、専門家への相談が重要です。
相続税と贈与税:賢く活用しよう
相続税と贈与税は、それぞれ異なる税率体系となっています。生前に計画的に贈与を行うことで、相続税の負担を軽減できる可能性があります。
今後の課税見直し:期待と課題
令和7年度与党税制改正大綱では、仮想通貨の課税方法の見直しが検討事項として盛り込まれました。雑所得(最大55%)から申告分離課税(20%)への変更も検討されていますが、投資家保護のための規制整備や取引業者による報告義務の整備が前提条件となっています。
鈴木税理士は、「これらの前提条件が整わない限り、課税方式の見直しがすぐに実現することは難しい」と指摘しています。今後の法整備の進展に注目していく必要があるでしょう。
まとめ:仮想通貨相続のポイント
仮想通貨の相続は、税金の問題を理解しておくことが重要です。この記事で解説した内容を参考に、専門家と相談しながら、適切な相続対策を行いましょう。