石川県輪島市を襲った豪雨災害から数ヶ月。甚大な被害を受けた町野町では、今もなお復興への道のりが続いています。この記事では、WEDGE編集部が実際にボランティア活動に参加し、その体験を通して見えてきた復興の現状と、地域住民の力強い思いをお伝えします。
復興への一歩を踏み出すボランティア活動
2023年12月13日、雪がちらつく輪島市。私たちは、町野復興プロジェクト実行委員会が運営するボランティアセンター「まちなじボラセン」を訪れました。体育館での受付後、割り当てられた作業は道路脇の側溝の泥除去。想像以上に過酷な作業内容でした。
ヘドロとの格闘
側溝の蓋を開けると、目に飛び込んできたのは黒く濁ったヘドロ。鼻をつまむような強烈な悪臭が辺りに広がります。長靴を履き、シャベルを手に側溝の中へ。深さは約1メートル。想像以上に重たいヘドロは、アスファルトやレンガの残骸も混ざり、簡単には掘り起こせません。膝を支点に、全身の力を込めてシャベルを操り、ヘドロを道路脇へと運び出します。
側溝のヘドロ除去作業
3000人以上が集結。「まちなじボラセン」の活動
「まちなじボラセン」代表の山下祐介さん(38歳)によると、豪雨災害直後、多くの住民が絶望に打ちひしがれていたといいます。しかし、全国から駆けつけたボランティアの献身的な活動が、住民たちの心に希望の光を灯しました。2023年9月28日の開設以来、延べ3000人以上のボランティアが「まちなじボラセン」に集まり、復興を支援しています。
地域住民の力強い思い
当初は、「心が折れた」と語る住民も少なくなかったといいます。中には、この地を離れる決意をした人もいたそうです。しかし、ボランティアの活動、そして泥まみれになった家や店が少しずつ綺麗になっていく様子に、住民たちは勇気づけられ、再び立ち上がる力を取り戻していきました。
貴重な品々の捜索
ヘドロ除去作業中には、写真や賞状、実印、指輪などの遺失物が見つかることもあります。ボランティアたちは、これらの品々を丁寧に扱い、持ち主に返還するため、細心の注意を払って作業を進めています。
土嚢袋へのヘドロ詰め作業
ボランティア体験を通して
今回のボランティア体験は、被災地の現状を肌で感じる貴重な機会となりました。想像を絶する過酷な作業でしたが、復興に向けて懸命に活動する人々の姿、そして地域住民の力強い思いに触れ、深く感銘を受けました。
著名な災害ボランティア支援の専門家である田中一郎氏(仮名)は、「被災地の真のニーズを理解し、効果的な支援を行うためには、現場での体験が不可欠」と述べています。まさにその言葉通り、今回の体験を通して、被災地支援の重要性と、ボランティア活動の意義を改めて認識しました。
復興への長い道のり
輪島市の復興は、まだ道半ばです。しかし、ボランティアと地域住民が力を合わせ、一歩ずつ着実に前進しています。私たち一人ひとりができることを考え、行動していくことが、被災地支援につながるのではないでしょうか。