LG杯棋王戦決勝、異例の結末を迎える。韓国の卞相壹九段が中国の柯潔九段を破り、LG杯初優勝を飾った。しかし、その勝利は予期せぬ形で訪れた。柯潔九段は決勝第2局に続き、最終局でも反則を犯し、最終的には棄権負けとなったのだ。世界囲碁大会決勝での反則負け、そして棄権負け。どちらも史上初の出来事である。
柯潔九段、2度の反則で波乱を呼ぶ
23日に行われたLG杯棋王戦決勝第3局。序盤から卞相壹九段が優勢に進めていた。前日の反則負けの影響か、柯潔九段は序盤から精彩を欠いていたものの、中盤以降は猛追を見せる。
LG杯棋王戦決勝第3局の様子
対局開始から3時間半が経過した頃、形勢は依然として卞相壹九段有利。柯潔九段が勝負に出たその時、事件は起きた。柯潔九段は取った石を碁笥の蓋ではなく、時計の横に置いてしまったのだ。155手目。前日と同じミス、昨年11月に新設された規定に違反する反則である。そして157手目、再び同じ反則を犯してしまう。
騒然とする対局場、そして棄権へ
2度の反則により、対局場は騒然となる。審判、両国の監督、関係者が集まり、状況を確認。中国側からは抗議の声も上がった。柯潔九段も事態を把握し、慌てて石を碁笥の蓋に置いたが、時すでに遅し。
審判団は柯潔九段に警告と2目のペナルティを科す。さらに反則を犯せば反則負けとなる。この警告に対し、柯潔九段は激しく抗議。再試合を要求するも、韓国棋院側はペナルティを受け入れ対局を再開しなければ棄権負けと通告。
柯潔九段と卞相壹九段
その後、2時間以上に及ぶ中断の後、柯潔九段を含む中国選手団は対局場を後にした。そして審判は柯潔九段の棄権負けを宣言。世界囲碁大会決勝における前代未聞の結末となった。
韓中囲碁ルールの違いが波紋を広げる
今回の騒乱の発端は、韓国と中国の囲碁ルールの違いにある。韓国では死に石も数えるが、中国では碁盤上の石のみを数える。この違いが過去にも混乱を招いており、韓国棋院は昨年11月に新規定を設け、国際大会に適用していた。
卞相壹九段、波乱のLG杯制覇
この結果、卞相壹九段は世界大会2度目の優勝、賞金3億ウォンを獲得。柯潔九段との対戦成績も2勝7敗と、差を縮めた。しかし、今回の出来事は韓中囲碁界に波紋を広げ、今後の関係に影響を与える可能性も懸念されている。中国の囲碁ファンからは韓国棋院への批判の声も上がっており、事態の収束にはまだ時間がかかりそうだ。
柯潔九段と中国選手団は表彰式への不参加を表明。LG杯棋王戦は、後味の悪い結末を迎えることとなった。