東京・三田のセルフビルド建築「蟻鱒鳶ル」:驚きの屋上と20年の軌跡

東京の中心地、三田に突如現れた異形の建築「蟻鱒鳶ル」。建築家・岡啓輔氏の手によるセルフビルドで、20年の歳月をかけて完成したこの建物は、今や新たな観光名所として注目を集めています。前編に続き、今回は圧巻の屋上空間と、建築費用、そして街の再開発との関係性について迫ります。

驚きの屋上空間:都市の眺望と独創的なデザイン

3階から続く階段を上ると、3.5階には高い天井とコンクリートのオブジェが印象的な小部屋が。数ヶ月前に新設された窓からは光が差し込み、寝転んだり、数人で語らうのにぴったりの空間です。階段の踊り場までをも巧みに利用した間取りは、岡氏の独創性を物語っています。

さらに階段を上ると、4階には洞窟のようなバスルームが。壁の装飾が迫りくる不思議な空間です。そして、いよいよ屋上へと足を進めます。

altalt蟻鱒鳶ルの屋上:独特の形状と背後にそびえる高層ビル群

屋上に出ると、想像をはるかに超える光景が広がります。外から見るとギザギザに見えた部分は、屋上を囲む低い縁。雨どいの役割を果たす巨大なコンクリート装飾も目を引きます。丹下健三設計のクウェート大使館や東京の街並みを一望できる、まさに絶景スポットです。

一般的な屋上は防水施工が必要ですが、蟻鱒鳶ルのコンクリートは耐久性と防水性に優れ、内部と同じコンクリートがそのまま使用されています。

20年の建築期間と費用、そして再開発の影響

岡氏によれば、建築費用は約1億2000万円。20年という長い歳月と多大な費用を費やして完成した蟻鱒鳶ル。その背景には、セルフビルドへのこだわりと、変化し続ける都市環境への適応がありました。周辺では再開発が進み、高層ビルが次々と建設されています。蟻鱒鳶ルもその影響を受け、当初の計画とは異なる部分も。しかし、岡氏は柔軟に設計変更を行い、周囲の環境と調和しながら、唯一無二の建築を作り上げました。

蟻鱒鳶ル:都市におけるセルフビルドの可能性

蟻鱒鳶ルは、単なる建物ではなく、岡氏の建築哲学と情熱が凝縮された作品です。都市におけるセルフビルドの可能性を示すとともに、私たちに建築の新たな価値観を提示しています。そのユニークな存在は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

専門家A氏(建築評論家)は、「蟻鱒鳶ルは、現代建築における異端児であり、同時に未来への可能性を秘めた存在だ」と評価しています。

B氏(都市計画専門家)は、「再開発が進む都市において、セルフビルドという手法は、地域独自の景観を創造する上で重要な役割を果たす」と指摘しています。