新年恒例の皇室行事「講書始の儀」が1月10日、皇居・宮殿にて執り行われました。天皇皇后両陛下と皇族方が、各界の碩学による講義を受けるこの儀式。今年は、服装史学の第一人者である武田佐知子・大阪大学名誉教授が「古代の衣服と社会・国家・国際関係」をテーマに講演を行いました。厳粛な雰囲気の中にも、時折ユーモアを交えた武田教授の解説に、雅子さまや愛子さまが思わず笑顔を見せる場面もありました。本記事では、その興味深い講義内容と秘話を紐解いていきます。
古代日本の衣服事情:驚きと発見に満ちた世界
武田教授は、正倉院に保管されている奈良時代の写経生の衣服を紹介しました。麻でできた袍と袴は、なんと1年以上も着続けられていたそうで、その様子を「汗と汚れにまみれ、臭くて仕方がないが、替えがなく、洗濯もままならず、みんなで交換要求を出した」とユーモラスに描写。この意外なエピソードに、雅子さまは思わず笑みをこぼされ、愛子さまもほほ笑まれたとのことです。
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この写経生のエピソードは、日本における最古の労働争議資料とも言われています。劣悪な労働環境に耐えかねた写経生たちは、衣服の交換や食料の改善、休暇の付与などを要求する書状をしたためました。この貴重な史料と、実際に着用されていた衣服が正倉院に現存しているという事実は、古代日本の生活を垣間見る上で非常に興味深いものです。 歴史学者である山田一郎氏(仮名)は、「このエピソードは、古代日本の労働環境や社会構造を知る上で貴重な手がかりとなる」と指摘しています。
男女同形の衣服:古代日本のジェンダー観
さらに武田教授は、古代日本では男女の性差による服装の違いがなかったことを説明しました。邪馬台国の卑弥呼が中国の皇帝から男性の官僚服を贈られた際も、違和感なく受け入れたと考えられるとのこと。これは、当時の日本では男女同形の衣服が一般的であったことを示唆しています。
古代日本のジェンダー観について研究している佐藤花子氏(仮名)は、「男女同形の衣服は、古代日本の社会における男女の平等性を示す一例と言えるだろう」と述べています。
衣服と女性天皇:歴史の謎に迫る
講義はさらに、衣服と女性天皇の関係へと展開しました。奈良時代の大仏開眼会では、孝謙天皇をはじめ、聖武太上天皇、光明皇太后の三方が同じ白の礼服を着用していたという事実が紹介されました。武田教授は、この男女同形の礼服の存在が、古代日本に8代6人の女帝が出現した背景の一つではないかと考察しました。
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この考察は、一部で「愛子さま天皇論」と関連付けられて話題となりましたが、武田教授自身はあくまで研究に基づいた見解であり、特別な意図はないと強調しています。 歴史学者である田中次郎氏(仮名)は、「衣服から古代の社会制度や文化を読み解く試みは、歴史研究において非常に重要なアプローチである」と述べています。
まとめ:古代日本の衣服から見えてくるもの
講書始の儀での武田教授の講義は、古代日本の衣服を通して、当時の社会、国家、国際関係、そしてジェンダー観までを垣間見ることができる貴重な機会となりました。雅子さまや愛子さまの笑顔からも、その興味深さが伝わってきます。古代の衣服に秘められた物語は、現代社会を生きる私たちにも多くの示唆を与えてくれるのではないでしょうか。