戒厳令下の国会:尹大統領への弾劾審判で波紋広がる「議員排除」指示の真相

韓国政界を揺るがす、12・3非常戒厳令下における国会議員排除疑惑。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾審判において、この疑惑をめぐる攻防が激化しています。発端は、戒厳軍を指揮した郭種根(クァク・チョングン)元特殊戦司令官の発言。彼は、金竜顕(キム・ヨンヒョン)元国防相から「国会議員を本会議場から排除せよ」との指示を受けた、と証言しました。この発言は、尹大統領が国会の権能を無力化しようと企てた証拠として、弾劾審判の重要な争点となっています。

郭元司令官の証言:真実はどこにある?

郭元司令官の証言は、戒厳令発令から3日後の昨年12月6日、共に民主党の金炳周(キム・ビョンジュ)議員と朴善源(パク・ソンウォン)議員によるインタビューの中で明らかになりました。このインタビューは、金議員のYouTubeチャンネルでライブ配信され、広く注目を集めました。

郭種根(クァク・チョングン)陸軍特殊戦司令官。2024年12月10日撮影郭種根(クァク・チョングン)陸軍特殊戦司令官。2024年12月10日撮影

当初、郭元司令官は「本会議場と外部に兵士を配置したが、金元国防相から議事堂内の要員を外部に移動させろとの指示を受けた」と発言。しかし、金議員と朴議員が「国会議員を排除せよとの指示か?」と重ねて質問すると、「はい」と答えたのです。

この証言は、尹大統領が戒厳令を利用し、国会機能を麻痺させようとしたのではないか、という疑念を招きました。韓国憲法裁判所における弾劾審判では、この「議員排除」指示の真偽が焦点となっています。

与野党の攻防:発言の解釈をめぐる対立

与党側は、郭元司令官の発言は野党によって歪曲されていると主張。金元国防相も、憲裁の弾劾審判で「死傷者発生を防ぐため、要員を移動させようとしただけだ」と証言し、郭元司令官の発言を「議員排除」指示とは異なる解釈を示しました。

共に民主・金炳周議員のライブ配信に出演した郭種根・元司令官共に民主・金炳周議員のライブ配信に出演した郭種根・元司令官

一方、野党は、郭元司令官の最初の発言も「要員」ではなく「議員」の排除を意味していたと反論。「発言の歪曲」は、尹大統領を守るための政府与党の策略だと批判しています。

専門家の見解:政治的思惑が交錯する証言解釈

韓国の憲法学者、パク・ミンソク氏(仮名)は、「郭元司令官の発言は、文脈によっては複数の解釈が可能だ。政治的思惑が入り込み、証言の解釈が歪められる可能性もある」と指摘しています。今後の審判では、発言の真意を解明するために、より詳細な事実関係の検証が必要となるでしょう。

弾劾審判の行方:国民の関心集まる「議員排除」疑惑

戒厳令下における国会議員排除疑惑は、韓国の民主主義の根幹を揺るがす重大な問題です。弾劾審判の行方は、今後の韓国政治に大きな影響を与えるでしょう。国民の関心は、この疑惑の真相究明と、尹大統領の責任の有無に集まっています。