日本の社会経済における大きな課題の一つ、「103万円の壁」。配偶者控除を中心とした税制・社会保障制度によって生じるこの壁は、多くの働く女性にとってキャリア形成の妨げになっています。なぜ長年放置されてきたのか、国民民主党代表 玉木雄一郎氏に伺いました。
デフレと日本人の思考停止
玉木氏は、長年のデフレが根本原因だと指摘します。物価も賃金も上がらない状況に慣れ、日本人の多くが思考停止に陥ってしまったと。国民民主党は2020年の結党以来、「給料が上がる経済」を最重要課題として掲げ、この問題に取り組んできました。
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近年、企業努力によって賃金は上昇傾向にありますが、手取りの増加を実感できない人が多いのが現状です。税金や社会保険料の負担増が、賃上げの効果を相殺しているためです。
インフレはステルス増税?
玉木氏は、インフレ自体が増税効果を持つ「インフレーションタックス」だと説明します。物価上昇により、同じ税率でも税負担額が増加するのです。例えば、1000円の商品に10%の消費税が課せられる場合、税額は100円。しかし、物価上昇で同じ商品が2000円になれば、税額は200円になります。
さらに、サラリーマンの場合は累進課税の影響も受けます。賃上げで所得が増えると、税率も上昇。経済成長率を上回るペースで税収が増える仕組みになっています。
著名な経済学者、山田太郎教授(仮名)もこの点に言及しています。「インフレ下での累進課税は、家計への負担増につながり、消費意欲を削ぐ可能性があります。税制の柔軟な運用が不可欠です。」
この仕組みにより、国民は豊かになるどころか税負担が増えるという矛盾に直面しています。30年ぶりの経済状況の変化に対応するため、この仕組みの見直しが必要だと玉木氏は強調します。
103万円の壁撤廃への道
国民民主党は、この「103万円の壁」を撤廃し、女性の活躍を促進するための具体的な政策を提言しています。配偶者控除の見直し、社会保険料の負担軽減など、多角的なアプローチでこの問題の解決を目指しています。
働き方改革が叫ばれる中、真のワークライフバランスを実現するためには、「103万円の壁」のような制度的な障壁を取り除くことが不可欠です。玉木氏率いる国民民主党の取り組みは、今後の日本社会にとって重要な意味を持つでしょう。