韓国経済を牽引する自動車・バッテリー業界から、明暗が分かれる業績発表が相次ぎました。起亜は過去最高の売上高を記録し、現代モービスも営業利益を大きく伸ばした一方で、LGエナジーソリューションとサムスンSDIは大幅な減益となりました。今回は、好調な自動車業界と苦戦するバッテリー業界の現状について詳しく解説します。
起亜、年間売上高100兆ウォン超えの快挙
創業80周年を迎えた起亜が、年間売上高100兆ウォンを初めて突破しました。2022年の売上高は107兆4488億ウォン(約11兆6000億円)、営業利益は12兆6671億ウォンと、いずれも過去最高を更新。販売台数、売上高、営業利益、営業利益率の全てが過去最高を記録する快挙を成し遂げました。好調の要因の一つとして、電気自動車市場の停滞をいち早く察知し、ハイブリッド車(HV)の販売を強化した戦略が挙げられます。世界市場におけるハイブリッド車の販売台数は前年比20%増の36万7000台に達し、パワートレインの多様化戦略が功を奏しました。
起亜の新型車
現代モービスも好調、営業利益3兆ウォン超え
現代モービスも好調な業績を発表しました。2022年の売上高は57兆2370億ウォンと前年比で微減したものの、営業利益は3兆735億ウォンと前年比33.9%増の大幅増益となりました。自動車部品事業の好調に加え、電動化関連事業への投資が収益に貢献したとみられます。
バッテリー業界は苦戦、LGとサムスンSDIが大幅減益
明るいニュースが続く自動車業界とは対照的に、韓国の未来産業と期待される二次電池業界は苦戦を強いられています。LGエナジーソリューションは、2022年の売上高が25兆6196億ウォン、営業利益は5754億ウォンと、前年比でそれぞれ24.1%減、73.4%減と大幅な減益となりました。10-12月期は2021年7-9月期以来の赤字に転落。米国のインフレ抑制法(IRA)に基づく補助金を受けても赤字を免れることはできませんでした。
電気自動車のバッテリー
サムスンSDIも同様の状況で、2022年の売上高は16兆5922億ウォン、営業利益は3633億ウォンと、前年比でそれぞれ22.6%減、76.5%減の大幅減益。10-12月期は2017年1-3月期以来7年半ぶりの赤字となりました。SKオンも10-12月期は赤字となる見込みで、バッテリー業界全体が厳しい状況に直面しています。
今後の展望
自動車業界は、世界的な半導体不足やサプライチェーンの混乱など、依然として不透明な要素を抱えています。しかし、起亜の成功例に見られるように、市場の変化に柔軟に対応し、新たな需要を捉えることで成長を続けることが期待されます。一方、バッテリー業界は、原材料価格の高騰や競争激化など、多くの課題に直面しています。今後の動向に注目が集まっています。韓国経済の今後を占う上で、これら二つの業界の動向は重要な鍵を握っていると言えるでしょう。