不登校は子ども本人だけでなく、家庭全体にも大きな影響を与えます。特に、保護者の仕事への影響は深刻で、経済的な負担も増大しています。今回は、不登校が保護者の仕事にどのような影響を与えているのか、そしてどのような支援が必要なのかを探っていきます。
不登校が仕事に与える深刻な影響
NPO法人キーデザインが実施した調査によると、不登校の子どもを持つ保護者の約8割が仕事に何らかの影響を受けていることが明らかになりました。その内訳は約4人に1人が離職や休職を経験し、早退・遅刻・欠勤の増加や雇用形態の変更なども含めると、その割合はさらに高くなります。
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この調査結果から、不登校が保護者の仕事に及ぼす影響の深刻さが浮き彫りになっています。子どもをサポートするために仕事を辞めざるを得ない状況や、子どもの様子を見ながらの勤務を強いられることで、キャリア形成にも大きな支障が出ていることが想像できます。
なぜ仕事を辞めざるを得ないのか?
同調査では、退職理由についても調査しています。「子どものサポートに集中するため」が最も多く、次に「子どもを1人で家にいさせることの不安から」、「親自身のメンタルが不安定になったため」、「会社に迷惑をかけたくなかったから」と続いています。
不登校の子どもは、情緒不安定な状態にあることが多く、予期せぬ行動をとる可能性も否定できません。そのため、保護者は常に子どものそばにいて見守る必要があると感じ、仕事を辞めるという選択をするケースが多いと考えられます。
専門家の見解
教育心理学者の佐藤先生(仮名)は、「不登校の子どもを持つ保護者は、精神的な負担に加え、社会的な孤立感を感じやすい」と指摘します。「周囲の理解不足や偏見により、仕事と育児の両立に困難を感じ、退職に至るケースも少なくない」と警鐘を鳴らしています。
経済的な負担の増加
離職や休職、勤務時間の減少は、当然ながら家計への影響も甚大です。同調査では、約4割の保護者が収入の減少を訴えており、そのうち8万円以上減った家庭も4割弱に上っています。
不登校になると、昼食代や光熱費の増加に加え、フリースクールやカウンセリングといった費用も発生します。経済的な負担が増える一方で、十分な公的支援を受けられていない家庭も多く、家計の維持に苦労している現状が明らかになっています。
支援制度の現状と課題
現在、不登校の家庭に対する経済的支援は、自治体によってばらつきがあり、十分な支援を受けられないケースも少なくありません。NPO法人キーデザイン代表理事の土橋優平氏は、「不登校の子どもがいる家庭やフリースクールへの助成金支給を行っている自治体は全国でまだ限られており、国の支援拡充が必要」と訴えています。
まとめ:更なる支援の必要性
不登校は、子ども本人だけでなく、家庭全体、特に保護者の仕事に大きな影響を与えています。経済的な負担も増加しており、よりきめ細やかな公的支援の拡充が不可欠です。子どもたちの未来を守るためにも、社会全体でこの問題に取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。