東日本大震災の津波で流され、行方不明になっていた宮城県気仙沼市のえびす像が気仙沼港の海底で見つかり、市によって14日、引き揚げられた。大漁と航海安全の神様「おえびすさん」として親しまれてきた像の帰還に、住民は「おめでたい」と喜んでいる。
クレーンで引き揚げられたえびす像は、手に持つ釣りざおが折れていたが、ほぼ元の姿のまま。所有者である五十鈴(いすず)神社の神山正志宮司(70)は「市民のシンボルでもあった。皆さんの希望につながる」と語った。昭和63年に建てられたえびす像は、全国でも珍しい高さ約150センチの立ち姿。気仙沼湾に突き出た神明崎(しんめいざき)で湾を見渡すように立ち、観光スポットになっていた。既に市民が基金を立ち上げて代わりの像を造っているため、今後は新たな像を元の場所に設置、引き揚げた像は同神社に納めて参拝客に公開する予定だ。