韓国経済を長年牽引してきたサムスン電子に、SKハイニックスと現代自動車が強力なライバルとして台頭し、韓国経済は「サムスン一極体制」から「三強時代」へと突入しつつあります。本稿では、この変化の背景と今後の展望について解説します。
SKハイニックス、サムスン電子の営業利益を凌駕
SKハイニックスは2024年、年間営業利益で過去最高の23兆4673億ウォンを記録。2018年の半導体好況期を上回る驚異的な業績を達成しました。特に第4四半期は、8兆828億ウォンという四半期最高益を更新し、この数字はなんとサムスン電子の同時期の営業利益(6兆5000億ウォン)を初めて上回ったのです。
SKハイニックスの工場
半導体市場の活況に加え、SKハイニックスの技術革新と戦略的な投資が、この躍進を支えています。業界専門家であるキム・ヨンジン氏(仮名)は、「SKハイニックスは、次世代メモリ技術の開発に積極的に取り組み、市場シェアを拡大してきた。今後も成長が期待される」と分析しています。
現代自動車、2年連続高水準の営業利益
現代自動車も目覚ましい成長を遂げています。2023年には営業利益15兆1269億ウォンでサムスン電子を抜いて首位に立ち、2024年も14兆2396億ウォンと高水準の利益を維持しました。年間売上高も175兆2312億ウォンと過去最高を更新。世界的なSUV人気や電気自動車市場への積極的な参入が、この好調を牽引しています。
自動車業界アナリストのイ・スンチョル氏(仮名)は、「現代自動車は、デザイン性と性能を両立させた魅力的なSUVモデルを次々と投入し、グローバル市場での存在感を高めている。さらに、電気自動車分野への投資も加速させており、今後の成長が期待できる」と述べています。
サムスン電子、依然として韓国経済の中核
サムスン電子は2024年、営業利益32兆7333億ウォンで年間首位を奪還しましたが、かつてのような圧倒的な優位性は薄れつつあります。それでも、サムスン電子は依然として韓国経済の中核企業であり、スマートフォン、家電、半導体など幅広い分野で世界的な競争力を誇っています。
三強時代、韓国経済への影響
韓国経済は、サムスン電子、SKハイニックス、現代自動車の三社が競い合う「三強時代」へと移行しつつあります。リーダスインデックスのパク・ジュグン代表は、「サムスン電子への過度な依存から脱却し、よりバランスの取れた経済構造へと変化している。三社の競争は韓国経済全体にプラスの影響を与えるだろう」と評価しています。
一方で、韓国CXO研究所のオ・イルソン所長は、「サムスン電子は株価の低迷など課題を抱えている。優秀な人材の確保と組織文化の改革が重要だ」と指摘しています。
韓国経済の未来
三強時代は、韓国経済にとって大きなチャンスであり、同時に新たな課題も突きつけています。三社の競争と協調が、今後の韓国経済の成長を左右する鍵となるでしょう。