結婚相談所の経営者として婚活現場の第一線に立つ筆者が、急激に変わっている日本の婚活事情について解説する本連載。今回は、1月22日放送の『水曜日のダウンタウン』で安田大サーカスのクロちゃんが、2年間付き合っていた恋人リチさんにプロポーズをしたにもかかわらず、拒否されて別れる展開になったことについて。植草氏は女性側が年の離れた男性に「ぞんざいに扱われている」と感じ、破談になるケースは婚活現場でも少なくないと指摘しています。
■6カ月でプロポーズしていれば…
今回、プロポーズが成就せず、別れに至ってしまったのはまさに「長過ぎた春」という言葉に尽きると思います。ファンだったクロちゃんに会いたい一心で番組の企画に応募したリチさんは結婚する覚悟もあった、と話しています。2人で付き合ってアツアツのうちに、6カ月で結婚までの話ができていれば、その後の2人の関係性も違うものになっていたかもしれません。
この点についてはあまり語られていませんが、リチさんには先行きへの不安があったのではないでしょうか。どんなに相手のことが好きだったとしても、2年もあれば気持ちが変わってしまうことも。その間にクロちゃんが2人の関係を真剣に考えている確信が得られなかったのではないでしょうか。
本来、結婚を1つのゴールと据えるのであれば、フォーシーズンのイベントを一通り経験する間に結婚を決めたほうがいい。例えば、夏に付き合ったのなら、花火や夏祭りに一緒に行って、紅葉をともに見て、お正月を迎えて節分をやって、梅を見て桜が散る頃にはプロポーズを決める、といった具合です。
それぞれのイベントでは、「来年も一緒に紅葉が見られるといいね」とか「再来年の紅葉の時には子どもを連れてきたいね」など、イベントごとにお互いの意思表示や確認をするのが重要ですが、2人でただあって「楽しいね」というのでは単なる遠足です。
リチさん自身もプロポーズを断る言葉の中で、「SNSにアップするためにデートをしているのでは」と思うようになったと語っている通り、クロちゃんにとっては、デートは意思表示や確認をする場ではなく、ただ「楽しい」だけのものだったのかもしれません。
もう1つ私が怪訝に思っていたのは、クロちゃんがリチさんをご自宅に招いた時に、彼の家があまり片付いていなかったこと。2人の関係が長く続いていたから、ということかもしれませんが、「好きな人」を招く部屋には見えませんでした。