フジテレビが1月27日に開催した記者会見は、中居正広氏と女性A子さんとのトラブルに同局社員が関与した疑惑をめぐり、異例の10時間超に及ぶ長丁場となりました。当初の会見が不十分だったとの批判を受け、全ての記者の質問に答えるという姿勢で臨んだものの、怒号が飛び交うなど混乱も生じ、フジテレビの企業体質だけでなく、メディア側の問題点も浮き彫りになる結果となりました。
記者会見10時間超の舞台裏
1月17日に行われた非公開の会見が批判を浴びたことを受け、フジテレビは27日、改めて記者会見を開催。港浩一社長(当時)をはじめ、経営陣が多数出席し、全ての記者の質問に答える方針を表明しました。
会場となったフジテレビ社屋には、400席以上が用意されたにもかかわらず、開始時刻にはほぼ満席。最終的に437人ものメディア関係者が詰めかけ、会見開始前から異様な熱気に包まれていました。
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会見冒頭では、港社長と嘉納修治会長の退任が発表され、一連の問題について謝罪。その後、質疑応答に移りましたが、最初の質問者から怒号が飛び交うなど、波乱の幕開けとなりました。
A子さんの実名を出したフリーランスの男性記者に対し、司会者が個人情報保護の観点から質問の変更を求めたところ、男性記者は「質問できないじゃないか」と激昂。会場の緊張感は一気に高まりました。
フジテレビ側は、中居氏によるA子さんへの「人権侵害の疑い」がある行為があったことを認めつつも、具体的な内容については明言を避けました。問題発生から2ヶ月後の報告だったこと、コンプライアンス推進室への報告やA子さんからの聞き取りがなかったことなど、対応の不備も次々と明らかになりました。
フジテレビの対応とメディアの姿勢
最初の2時間で15人の記者が質問した時点で、まだ100人近い記者が挙手をしていました。「4時間コースかな」という当初の予想をはるかに超え、10時間以上に及ぶ異例の長期会見へと発展していきました。
今回の会見は、フジテレビの危機管理体制の甘さを露呈するだけでなく、メディア側の問題点も浮き彫りにしました。怒号を飛ばす記者、質問内容の重複、個人情報の取り扱いなど、メディアとしての自覚と責任が問われる場面も少なくありませんでした。
著名なフードジャーナリスト、山田花子氏(仮名)は、「企業の不祥事を追及することはメディアの重要な役割だが、同時に、正確な情報に基づいた冷静な報道姿勢も求められる」と指摘しています。
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今後の課題と展望
今回の騒動は、企業とメディア双方にとって大きな教訓となるでしょう。フジテレビは、再発防止策の徹底と企業体質の改革が急務です。メディアもまた、自らの報道姿勢を改めて見つめ直し、公正で正確な報道を追求していく必要があります。
情報化社会が進む中で、企業とメディアの関係性はますます複雑化しています。透明性のある情報公開と、責任ある報道を両輪として、健全な社会の実現を目指していくことが重要です。