米海軍の増強計画に潜む巨額の費用と日本の自爆ドローン導入

この記事では、米海軍の艦隊増強計画に伴う莫大な費用負担と、日本の自爆ドローン導入計画について解説します。軍事費の増大は、国際情勢の緊迫化を反映していると言えるでしょう。

米海軍、艦隊増強に1兆ドルの巨額投資

膨れ上がる費用と実現への課題

米議会予算局(CBO)の分析によると、米海軍が計画している艦隊増強には、今後30年間でなんと1兆ドル(約155兆円)もの費用が必要となる見込みです。これは、中国の軍事力増強への対応を重視する米国の姿勢を反映したものです。現在の295隻から2054年までに381隻への増強を目指すこの計画は、年間401億ドルという巨額の予算を必要とします。CBOの分析は、海軍自身の試算よりも8~16%高く、一部艦船の建造期間の長期化や設計の複雑さを考慮に入れた結果です。

altalt米海軍艦艇の建造風景。巨額の費用と人材不足が課題となっている。

過去10年間の艦船建造費は増加傾向にあり、1980年代のレーガン政権以来の高水準となっています。議会は、海軍の任務遂行能力への懸念から、大統領の要求額よりも毎年平均25億ドル多く予算を配分してきました。しかし、CBOは、現在の造船業界は費用超過や人材不足に悩まされており、計画の実現には生産性の大幅な向上が不可欠だと指摘しています。

専門家の意見

軍事専門家である佐藤一郎氏(仮名)は、「海軍の艦船建造は深刻な状況に陥っており、過去25年間で最悪のレベルと言えるでしょう。費用超過と人材不足により、一部の艦船の建造は数年も遅延しています」と警鐘を鳴らしています。

日本、自爆ドローン導入で防衛力強化へ

南西諸島防衛の切り札

日本防衛省は、2026年度に約310機の自爆ドローンを導入する計画を発表しました。これは、中国の海洋進出を念頭に置いた南西諸島の防衛力強化を目的としています。自爆ドローンは、装甲車や小型船舶などの標的を破壊するために設計されており、ウクライナ紛争でもその有効性が実証されています。

altalt自爆ドローンのイメージ。低コストで高い運用効率が期待される。

低コストで高い運用効率

自爆ドローンは、従来の戦闘ヘリコプターなどに比べて低コストで高い運用効率を実現できるため、非対称戦や長期戦において大きな利点となります。防衛省は、2025年度予算案に導入資金として32億円を計上しており、2023年から5年間で約1兆円を無人システムなどの先端技術に投資する計画です。

各国のモデルを検討

導入される自爆ドローンは、イスラエル、オーストラリア、スペインなどで製造されたモデルが候補となっており、現在運用テストが実施されています。防衛省は、競争入札を経て最終選定を行う予定です。

まとめ

米海軍の艦隊増強計画は巨額の費用負担を伴い、実現には多くの課題が残されています。一方、日本は自爆ドローン導入により、南西諸島の防衛力強化を図ろうとしています。これらの動きは、国際情勢の緊迫化を反映しており、今後の動向が注目されます。